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№1354 企業法律相談はこんな具合

№1354 企業法律相談はこんな具合

 企業の法律相談はこんな具合に始まる。
 「本日はどのようなご相談ですか。」
 「実は・・・・」

 企業の場合,個人と異なって普通は自分で解決するべく一定の努力がある。そのため,紛争が解決できなくなるまでの一定の経過が有り,通常多くの資料が用意されている。資料を見ながら私たちは相談活動をする。

【事実の詰め】
 だいたいの問題を念頭に入れながらおおよその察しをつけていく。その中で法律的な解決をする上で不可欠なポイントが出てくることがある。この時に事実関係を詰めていくことになる。企業の場合,法律の専門家ではないので,事実関係の「詰め」はたいてい甘い。

 この事実関係,たとえば相手の債務不履行の事実について裁判所を説得するだけの材料がそろうかどうか,どうやってそろえていくかを協議していく。

【法律,判例の検索】
 一方で,法律の条文や判例を検索していく。裁判例を私たちは判例と呼んでいる。判例は法律の解釈が具体的に示されているため非常に重要な役割を持つ。それだけでなく,事案に対する詰めのレベルが示されている。私たちは判例を読んで,ここまで詰めないとまずいのかと改めて確認していく。

 その上で,クライアントに判例の到達点,勝った事例,負けた事例についてどこが類似しているのか,どこが違うのかを説明する。時には判例を手渡しすることがある。

【方針の確定】
 事実関係の詰めと判例の詰めが徐々に進み,事件を勝利するために戦略を作り上げていく。こちらの弱みをカバーしつつ,相手の弱点を追求する最もよい手段は何か,短期決戦が求められるのであればどうしたらよいのか,などといったことを整理していく。

 この間の経過はかなり時間を費やすことになる。つまり,企業の案件はすでに相手との協議が進んでいることが通常であるため,相手にもそれなりの論理がある場合が多い。その隙を正確に突き止めておくことにどうしても時間がかかるからだ。