名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№1347 若い弁護士達へ

№1347 若い弁護士達へ

 最近は法律家への魅力がどんどん減っている。
 やたらと広告宣伝している法律事務所も増えてきている。どう考えてもまるでドラッグストアのようにお安く法律事務所を展開している。彼らに「正義」に生きようという志があるのだろうか。

 何事も利益がなければ始まらないと言わんばかりに弁護士を安売りする。ただそれだけで終わってはいないだろうか。量販店のように法律事務所に経営し,量販店のように事件を処理していることはないだろうか。一つ一つの事件を安売り商品のようにさばいていないだろうか。

 本来,法律家は法の理想を実現するために存在する。国民はすべて裁判を受ける権利があるが,その権利は弁護士なくして実現することはない。私たちの職業は常に人権の深みを追求し,人々の本当の幸せを理解しようとするものでなければならない。

 これは同時に私たちの自由の課題でもある。

 一つ一つの事件には常に人の葛藤や社会の矛盾が隠されている。私たちの職業はそれを一つ一つ丁寧に解きほぐし,解決を目指していく。その作業は高度な専門性を持つ知的作業だ。プロセスは多様であり,常に弁護士の個性が反映する。それが困難な事件であればあるほど,私たちの本領が発揮され,私たちの個性が発展する。

 つまり,私たちは依頼者とともに事件を解決することで,私たちの生き方を選択していることになるのだ。人生の選択を自らの意思で決めるというのを自由と呼ぶなら,私たちは常に自由でありたいと思う職業ではないだろうか。

 確かにどのような職業でも利益の範囲でしか活動することはない。弁護士のどのような美しい言葉も利益の範囲でしか行動に移すことはできない。しかし,利益は目的ではない。私たち弁護士にとって利益は人々の幸福や社会の発展のために活動できる指標の一つでしかない。若い弁護士達にはこの理想を失わないで欲しい。