№417 法律事務所の新展開
法律事務所の経営が大きな過渡期を迎えている。法曹人口は急激に増加し、勝ち組と負け組の差が鮮明になりつつある。特に過払いなど簡単に利益の上がる事件が急速になくなっていることが問題を大きくしている。つまり、弁護士の人口は急速に増えたのであるが、過払いなど簡単に儲かる事件があることで、「失業」が見えにくくなっていた。それがいよいよ顕在化し始めている。
弁護士とは言え、生活があるからお金のために動かざる得ない状況が出てくるだろう。弁護士の質は低下し、社会問題になるかもしれない。シロウトであることをいいことに、適当な解決をしてごまかしてしまうやからも出てくるだろう。「これは難しかった」と一言言って終わってしまう。米国では持ちたくない隣人として弁護士があげられている。
■ 法律事務所の今後のあり方を決めるのはやはり「品質」だ。その品質の条件は何か。
① 解決に向けた、現場情報、法律、判例、学説、など専門的知識収集の高度さ、早さである。
② すばやいレスポンスも不可欠だ。完全を目指して遅くなるより、不完全であってもすばやさが追求されるべきだ。すばやさで顧客とやりとりができあがり、完成に至ればよい。顧客は常に報告を待っている。
③ 価格の明確さがある。寿司屋じゃないが、今時、価格が分からないということはあり得ない。
■ 次に品質の維持、向上をはかる必要がある。
① これはまずは私自身が強い決意で望む必要がある。妥協を許さない頑固な姿勢を自分にも、他人にも強く示す必要がある。
② 組織的な担保は、品質の可視化から始まる。品質の基準を客観化し見えるようにしなければならない。サービス業の可視化は非常に難しい。
③ 組織的な対応が品質の向上につながる。事件の組織的な受け止めは必要だろう。
■ どのような品質も知られていなければ意味がない。競争激化にあって弁護士の質の低下が問題になる中、品質がよいこと、信用できることを明確にアピールできなければ客は来ない。
① 既存の人間関係をいかに大切にするか。これは営業のイロハだ。
② 不特定多数との関係をいかに構築するかも大切だろう。
■ 以上は一般論だ。
弁護士を別のサービス業に置き換えても通じる。我が事務所でなくても他の事務所でも通じる一般論だ。では、私の事務所は何をするのか、どのようなサービスを得意分野として活動を進めるのかという具体的なロードマップがなければ意味がない。
当事務所は中小企業向けの、あたたかみのある法律事務所だ。私たちはどっかの法律事務所のように中小零細企業だからといって軽く見るようなまねをしない。むしろ、中小零細企業が自由に経済活動ができる社会が必要だと考えている。
私たちは中小企業の分野や、他の分野でも日本でも最も高い水準の活動が可能だし、現に多くの裁判例を作ってきた。
などなど、法律事務所は考えることが多い。