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№1236 労組による誹謗中傷ビラ

№1236 労組による誹謗中傷ビラ
 船員などによる労働組合が株式会社同和ラインを相手に交渉する際に、本社ビル周辺でデモとシュプレキコールを行った。

 その際にチラシがまかれたり、また、組合発行の新聞に「悪徳船主」と記載した記事を掲載した。このチラシ、記事をめぐって同和ライン側が組合に対して名誉毀損を理由に損害賠償を求めた。

 この事件は労働組合が配布するチラシ、あるいは配信する新聞記事が名誉毀損を構成するかどうかが争われた事例である。

 一審は請求棄却として労働組合が勝訴し、控訴審は逆に会社側が勝訴した(東京高裁H24.12.17判事2190号27頁)。同じ事実を争いながら、一審と二審とでは違った判断を下した事例だ。

 労働争議にあって、シュプレキコールやチラシ配布などの行為は最近はすっかり無くなってしまった。しかし、全く無くなってしまったかと言えばそうでもなく、まれにある。こうした組合の活動は大企業ならまだ耐えられるが、中小企業となるとかなり大変だ。気丈な社長であってもまいってしまう。

 中小企業の場合、労働組合ができるだけでもショックを受けるのに、徹底抗戦型の活動されるとまいってしまう。社長は常に自信を持って経営に臨まなければならないのであるが、組合などとやりあうことを考えるとうんざりしてしまい、自信すら失ってしまう。

 しかし、ここはがまんくらべということになる。
 私の経験では小さな会社の場合、組合側も中々もたない。

 徹底抗戦型活動は労力も時間の必要なのでいつまでもできない。上記のようにビラまきを禁止したり、ビラまきを名誉毀損として裁判したりする場合に、資金的にも人力的にも長くもたない。

 あるいは、中小企業という小さな会社の中で常に社長と顔合わせ、社長の指示をうけながら仕事をするのであるが、きまずい状態で仕事を続けることは普通の人の神経では中々持たない。

 優れた顧問弁護士(私のこと?)と相談しつつ、こうした組合側の情勢を見極めつつ、社長としてはやるべきことをやり、社員に対して自信をもって経営に臨んでいれば、やがては解決する。