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№1142 労働組合の取り扱い

№1142 労働組合の取り扱い
 私は経営者は実はいつも怖がっているのではないかと思うことがある。

 社長と社員との間には一体感があるようで実は管理する側とされる側に分かれてしまう。社長は会社経営に最後まで責任を持つが、社員はその立場にない。この差が、実は社員は「いつまでも私と一緒にはいない。」「彼らは自分のことを考えている」という感覚がどこかにあってどこか怖がってしまうところがあるかもしれない。

 最近、労働組合に関する相談を受けた。社内で組合が結成され、団交が求められた。昨今の団交は未払い残業代がターゲットになる。これは非常にわかりやすいし、すぐに「現金」となって成果が出るため、組合の実績をアピールしやすいからだ。

 もちろん、全ては法律通りだ。法律通りでなければ未払い残業は支払わざる得ない。
 問題はその後の組合に対する対応だ。中小企業の場合、労働組合など思いもよらないことだし、何か「悪魔」のように毛嫌いする場合もある。

 しかし、労働者の団結権憲法上保障されている上、関係法律も整備されている。労働基準監督署も存在して行政罰もある。場合によっては刑事罰も存在する。ひとたびできたら、それは逃げられない存在となる。

 この時に経営者の決意が試されることになるだろう。
 社長は彼らは敵だ、自分のことしか考えない、会社は彼らの食い物にされる、彼らは会社に責任を持たない、潰れたっていいと思っている、など、日頃に漠然と思っていた不安が一気に吹き出す。

 組合ができてしまった以上、きちんと向かい合い、組合があることで会社の生産性が上がるよう持っていく必要がある。もし、本当に無責任な組合であればはっきり戦う必要もある。

 ここのところの戦略については、経営者は一人で考えないで、社内での協議、弁護士、社労士などを交えた協議、経営者同士の相談などして作り出す必要がある。

 組合を「悪魔」のように思い、むやみに対決したり、毛嫌いしたりすることは得策ではない。これはマネジメントの問題として割り切ることが必要だ。経営者が戦略的であるというのはそういう、自らの判断を信頼して理性的に割り切る姿勢を作ることでもある。