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№1191 シリコンバレー

 ウィキによると、「シリコンバレー (Silicon Valley) はアメリカ合衆国カリフォルニア州北部のサンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置しているサンタクララバレーおよびその周辺地域の俗称。」ということで、地図上シリコンバレーという地名はないが、多くのIT企業が集まり、様々な半導体企業が成功を収めたことからシリコンバレーと呼ばれるようになった。

 シリコンバレーではインテルのようなジャイアント企業が生まれてきたが、一方でシリコンバレーが小さな地域であることは不思議なことだ。

 地域に集積していることが、イノベーションを産み、国際企業を生み出すことにもなるという点はいろいろな形で説明されている。
 例えば、産業クラスターと言われる産業の地域集積は経済学や経営学の重要な課題になっているし、国の政策でも進められている。

 知識の地域集積がどのようにしてイノベーションを生み出していくかについてはかなり研究が進んでいるようだ。入山章栄さんは著書の中で「知識は遠くへは飛ばない」という表現の仕方をしている。

 それは経営資源(リソース)が得やすいということをあげている。「本当にビジネスに必要な深い知識やインフォーマルな情報は、インターネットソースではなく、人と人との直接のコミニュケーションでしか伝わらない部分も多い」というのである。

 有能が人材が集積していれば、相互に交流してパートナーや従業員を見いだし、新しい仕事を生み出すことができる。ベンチャー企業に対するキャピタリストも集積してくると言う。

 入山さんの本によればブルース・コグトーとポール・アルメイダは半導体産業で特許を保有していた438人のエンジニアがどのように仕事先を変えたかを研究し、知識の集積と人の移動との関係を明らかにした。その結果、知識は人に根付いたものである、知識の持つ人が一定の地域内にとどまることがあれば知識が地域に集積していくことが判明した。

 ここで重要なのは、特定の地域に人が集積しているというとき、特定の地域内で人と人とはどのような形で知識の交換や連携、企業提携を進めてきたかということだろう。

 新しいもの、新しい企業を生み出そうという個々の意欲と相互の結合も重要だろう。あるいは何か核となるような人物、例えばベンチャーキャピタルのような投資家がいろいろな形でマネジメントを行っているかも知れない。ひょっとしたら地域作りのNGOなども大きな役割を果たしているかも知れない。特定の何か楽しいイベントが地域に集積した人たちの意欲をかき立てているかも知れない。

 私の友人に画家がいて、ワシントンDC郊外に住んでいた。そこでは芸術家たちのためのアパートというのが自治体政府によって用意されていた。かれはそこで格安で生活し、多くの若い芸術家たちと交流を進めた。私も彼のアパートに行ったが非常におもしろかった。こういう交流こそがイノベーションを生むと思う。