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№1868 知的集団の形成

№1868 知的集団の形成

 マイケル・ポーターは「立地」に対する関心が高い。
 クラスターと呼ばれる地域集積が企業の競争上の優位を獲得するメカニズムが研究されている。1999年の論文だが、とてもおもしろい。

「グローバル競争の時代における経済地理には、一つのパラドクスが含まれている。つまり、高速な輸送・通信手段を持ちグローバル市場にアクセスできる経済においても、依然として立地が競争の根本であることは変わりないのである。」

 確かに、シリコンバレーのようなものが生まれている。名古屋には「大須」という浅草のような古い門前町があってけっこう賑わっている。ここの小売商の中には大須商店街での販売もあるが、実は自社の商品を東海地方や全国に販売している店がけっこうある。商売から言ったら大須は必要ない。だが、大須に店があることは重要だという。それはブランド力だけの話ではない。そこに集積している情報や情報の交流、さらには資源調達のしやすさなどいろいろな複合的な要素がある。

「逆説的ではあるが、グローバル経済において持続的な競争優位を得るには、多くの場合非常にローカルな要素、つまり専門化の進んだスキルや知識、各種機関、競合企業、関連ビジネス、レベルの高い顧客などが一つの国ないし地域に集中していなければならない。・・・・標準的な投入資源、情報、技術は、グローバル化によって容易に入手できるようになるが、競争のより先進的な次元が地理的な束縛のもとに残されることになる。立地は今も重要である。」

 情報の分厚い交流や交流から生まれるイノベーションはフェイスツーフェイスの交流の中で生まれる。これの交流は「競争」と「協同」とを含んだ緊張感が必要だ。さらに、グローバル標準以上の意味をその交流に含ませるためにはどこかに「知的集団」が形成されることが必要だと思う。なぜなら「標準以上」を実現するためには標準を超えるための知的作業が必要だからだ。

 この「知的集団」は大企業であったり、大学などの研究機関であったり、とりわけ高いスキルを持っている中小企業だったりする。マネーの流入させる能力も必要だろう。ともかく、評論家でない行動的知的集団が必要だ。たぶん、この「知的」も「集団」もはかなり幅のひろいカテゴリーのようなものではないかな。

 当事務所は中小企業のための法律事務所として、地域でどんなポジションをとるべきであるかいろいろ悩んできたが、何となく見えてきた気がする。
 法律事務所としての高い専門性を備えるというのはどういうことであるかは単に法律知識だけの問題では無く、クラスター形成の核となっている知的な「プラットフォーム」の一員となっていくところにある。このプラットフォームの一員であることで、事業化のために生きた情報、つまり戦略的要素の入った高度なリーガルサービスを提供できることになるだろう。

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