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№1848 経済発展と中小企業の役割

№1848 経済発展と中小企業の役割

 マイケル・ポータークラスター(産業集積)を先進国と途上国とで比較している。地域の企業が相互に関係を持ち、さらにインフラや政府の援助、大学とのつながりなど産業の地域力のようなものがある。ポーターのクラスター論はこの地域力の分析に力が注がれている。

 途上国ではクラスター奥行きが浅いため、材料の確保、製造、流通、販売を一つの企業が行う傾向にある。時には電力も用意しなければならないし、さらには学校すらも用意することがある。

 そういえば、私が以前パプアニューギニアの銅山を視察したときに、巨大企業がパプアニューギニアの奥地に町を作り、住宅や市場、学校まで用意していた。先進国のような濃密な企業関係や優位なインフラ、優れた労働者といった地域の集積がないので何もかも用意しなければならなかったのだ。

 途上国が一時的に外資を導入して成功しても、クラスターが発達しないとやがては限界につきあたる。それは産業のグレードアップが進まないことや、一つの企業に依存することで柔軟性を失うからだ。クラスターが分厚く、様々な企業が濃密な関係を作っていれば、情報を早く獲得でき、競争の圧力がイノベーションを生む。製品の質は高まり、時代の変化にも柔軟に対応できる。

 ポーターは「経済開発を成功させるには、クラスターの深化と拡大の成功が不可欠だということになる」という。私はまったくもってその通りだと思う。発達した資本主義社会では中小企業が必然的に生まれてくる。大企業、多様な中小企業、これがあって始めて経済は発展したと言える。

 持続社会が経済社会の目的だとしたら、そのために中小企業が多様に、分厚く存在することは不可欠だし、逆に中小企業の発展こそが経済的繁栄の鍵を握ると言える。中小企業を大事にしない国は滅ぶし、大事にする国は栄える。

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