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№1204 少数株主の強制排除

№1204 少数株主の強制排除
 会社法はとても技術的な法律だ。この技術を裏技のように利用することがある。こんなことができるのかなどと思うことがよくある。その点では私達は日々研鑽がいる。

 最近、顧問先が株式の処理に困っていていろいろ勉強している。つまり、従業員とか親戚とか少数だが株式があってその処理をどうするかという問題だ。

 いろいろ調べていると、ある本に「敵対的株式の強制排除の方法」ということが書いてあった。これも「こんな方法があるのか」というような類の手法だ。要点は次の通りだ。

① 定款変更を行い、A種類株式の発行ができるようにする。
② 普通株式を全部取得条項付き種類株式に変更する。
   ※ 全部取得条項というのは、株主総会特別決議によりその株式を会社が買い取ることができる株式です。
③ 全部取得条項付き種類株式を実行して、株式を買い取る。
④ 全部取得条項付き種類株式の対価としてA種類株式を交付する。
⑤ この時、全部取得条項付き種類株式の価格を操作して、敵対株式の割当A種類株式が端株になるようにする。端株になる場合には金銭交付を行うことになる。

 この手法のみそは、「端株」だ。少数株主の株式を最終的に「端株」にしてしまい、全部買い上げて現金精算してしまおうという手法になる。

  本来、株主は平等であるべきだ。それを排除してしまうということだから、いかがわしい感じのする手法でまさしく裏技だ。これについては、判例があって、東京地裁は対価が正当であれば許されるとした(東京地裁H22.9.6判タ1334号117頁)。

 この手法はヤフーブログでも紹介されてあった。

 似たような手法は合併という方法もある。合併に際して、被合併会社に株式を交付するが、その時に少数株主の株を「端株」になるように調整して現金を交付するという方法がある。