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№2134 株券に対する無関心

№2134 株券に対する無関心

株券発行会社は何かとめんどう
 古い株式会社では株券発行が必要だった。実際,株券が発行される事例も多い。しかし,株券がどこかにいってしまった。株券の裏に全く知らない会社名や,個人名が記載されている,株券は今ではどこにあるか分からない,こういう事例も少なくない。

 いったん株券が発行されると,株券の交付なしで行われる株式譲渡は無効である(会社法128条1項本文)。そのため、株式を後継者に贈与するためには株券が必要になってしまう。M&Aの時でも、株券のことがいい加減になっているため、苦労することが多い。

株券不発行会社の勧め
 あなたの会社が株券発行会社であれば、定款を変更して不発行にしておくことをおすすめする(会社法218条1項)。そうすれば、株券なくとも株式の譲渡は可能になる。この時には,公告や株主への通知といった手続きがあるが,弁護士に確認をとってほしい。

株券をなくしてしまっていたら?
 もし,株券を無くしてしまいどこに行ったか分からないという場合は,株券を無効にしなければならない。会社法は喪失手続きを用意している(会社法228条1項)。この場合は,「株券喪失登録日の翌日から起算して一年を経過した日に無効となる。」となっており,時間がかかる。株主であることが確実ならば,株券不発行会社にしておけばよい。

株主名簿も大事です
 株券もかなりいいかげんであるが,株主名簿もかなりいいかげんな場合が多い。
 そもそも,株主名簿すら知らない場合がある。毎年の確定申告書別表が株主名簿のかわりになっていたりする。

 会社法は株主名簿を備えないと過料にするとしているし(976条),株主名簿には法的効果もある。株主名簿は会社の株主管理の要なので,これはきちんと整備し,金庫に保管しておくぐらいのことはしておいてよいと思う。

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