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№2133  固定資産税を取り戻した事例

№2133  固定資産税を取り戻した事例

固定資産税には小規模住宅用地などの特例があります
 固定資産税については小規模住宅用地の特例があって課税標準額は固定資産税台帳標準額の6分の1の額となる(地方税法349条2項)。都市計画税についても似たような特例がある。市街化区域農地にも特例があって,固定資産税などが安くなる。

固定資産税は一方的に決められてしまいます
 税金は一般的には申告があって初めて課税されるしくみになっているが,固定資産税などは課税庁,この場合は市町村長が課税価格を決定して賦課する仕組みになっている(地方税法403条1項)。

課税時には納税者の権利を保障しなければなりません
 この賦課課税方式では一方的に決められてしまうので,納税者に対しては十分な調査を実施しなければならないし,情報が公開されなければならない。固定資産の評価に関する事務手続きは納税者の権利を意識したものになっている(法403条から410条など)。

 ちなみに,固定資産税は公示された固定資産税台帳に基づき,公示された当該年度の初日に属する1月1日に賦課される。つまり,先払いという考え方ですね。そのため,不動産取引にあたっては,買主は買った日以降の固定資産税を売り主に払い戻すことになる(法359条)。

固定資産税額にミスがあれば賠償問題が発生します
 ともかく,一方的に課税されてしまうので,自治体職員にミスがあってとりすぎがあった場合には賠償問題が生じることになる。

 東京地裁の事例では自治体職員のミスから小規模住宅用地の特例などが見落とされ,790万円の賠償命令が出されている(H28.10.26判タ2345号85頁)。

 これらの特例が「所有者の申告が要件となっているわけではなく,被告評価担当職員が裁量を有するわけでもない。」「特例の基準に従って算出した価格を評価すべき職務上の注意義務を負っていると解すべきである」としている。

 また,処分庁側は課税通知によって問題に気づくべきだったとして,時効消滅などを主張したが,自治体を信頼しているのだから「税額が過大であることに気づくことが容易であったとも認め難い」とした。

固定資産税についてはたまには見直してみはいかが?
 固定資産の評価額については我々はけっこう鵜呑みにしていることが多く,争ってみると下がることは,意外と多いらしい。

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