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№670 はーちゃんがんばれ

№670 はーちゃんがんばれ
 長女はーちゃんは受験の真っ最中だ。去年はセンター試験で頭が真っ白になって失敗してしまった。この試験方式は限られた時間の中で問題を解き続けるもので、瞬間の判断力や瞬間の動揺を抑える能力とか、勉強の実力以外のものが要求される。親としては「そんなの試験じゃない」と言いたくなるが、どうにもなるものでもない。「逃げずに戦う」こそ人生をやり抜く最大の秘訣だ。本人の自己責任でやりとげなければならない。
 
 そうは言っても、動揺を繰り返す娘を見て、親としては何かしなければ親のありがたみというのがない。
 妻とは毎晩のようにはーちゃんことを話し合っている。はーちゃんの話をなるべく聞くようにする。家族は彼女を気遣うが特別なことはしない。親の心配を押さえて表に出さない。なるべく、穏やかにして家庭を明るくする。はーちゃんには才能があることを信じ続ける。
 
 妻は心配を押さえ、家庭を明るくしようと一生懸命だ。その一生懸命さもはーちゃんのプレッシャーにならないようにしなければならない。妻はたいへんだと思う。
 
 私はだいぶ前に時間をかけてはーちゃんと話し合ってみた。彼女にはいくつもの成功体験がある。自分が試験に成功したときはどんな風だったか。試験前の精神状態はどうだったか。試験中、自分はどんな気持ちで問題を解いていたか。成功したとき何が心を落ち着かせたか。解くときの動作はどうだったのか一個一個ていねいに聞き出していく。これはゆっくりと時間をかけて成功体験を思いおこし、自分の心の中に固定させる作業だ。
 
 この作業はスポーツ選手がよくやるやり方だ。スポーツ選手は瞬間の動揺を抑え、瞬間に集中する。そのために成功体験を心に焼き付ける必要がある。そのために、成功したときの自分の心理状態を深く分析する。その心理状態は動作にも現れるので動作も含めて分析し、心に焼き付けておく。それをはーちゃんにも試してみたのだ。
 
 こうした作業は実は経営者にも役立つ。法律事務所には心理的に追い詰められている経営者が相談に来ることが多い。私はできるだけ経営者の調子の良いとき、頭が乗っているときのことを聞くようにしている。そうすることで困難に立ち向かう「勇気」が湧いてくるのだ。