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№467 ドラッカーの基本思想

№467 ドラッカーの基本思想
 ドラッカーの基本思想は単純明快だ。「組織は社会のために存在する」という考えだと思う。ここで言う社会のためとは個々の人々の具体的要求を満たすということだろう。
 
 著書「マネジメント」ではドラッカーは前書きで彼の世界観について触れている。
「組織を柱とした多元的な社会において、かりに組織が責任に裏打ちされた自主性のもとで成果をあげなかったなら、個人は自由や独立性を得られず、社会における自己実現も叶わないだろう。」
「組織を柱とした多元的な社会で自由と尊厳を保つためには、組織に自主性と責任を与え、高い成果をあげさせるのが唯一の方法である。」
 
 彼の場合、まず個人や社会の幸福というのがあって、そのために組織を作り上げることが必要であるし、実践的であると考えていると思う。もし、そうなら私は彼の考えに同意する。
 
 彼は企業の目的はただひとつ、「顧客を生み出すこと」という(マネジメントⅠ、171頁)。それは組織は社会のために存在し、その使命を果たすという考えに基づいている。顧客の支持は社会からの支持でもある。企業は社会の中で存在理由を見いだし、持続していく。企業の持続、発展は顧客の支持(=個人の要求の実現)の拡大につながる。
 
 そのため、彼は、著書の中でオーエン主義を最初に取り上げ、オーエンたちが実践しようとした美しい社会を「空想」ではないとして紹介した。つまり、オーエンが戦略を持った実業家として実際に成功したことを取り上げたのである。
 
 この基本的な考えから、「利益」、「組織」、「顧客の要求(必要、ウォンツ)」の難しい課題についていくつかの命題を設定した。それが、「利益は企業の活動制約要因」としている」という命題であったり、「組織は戦略に従う」という命題だったりする。そして、企業の目的について,ドラッカーは「顧客を生み出すことが企業のただ一つの目的」としている。