名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№465 不況下に打つ、次の一手(借金を葬る)

№465 不況下に打つ、次の一手(借金を葬る)
(前号№464から続く)
 不況下、セイフティネットで膨らんだ借金をどうしたらいいのだろうか。
 固定負債が限りなく増加してしまった企業はどこかで借金をどこかで葬り去らなければ、いずれは滅ぶ。借金を葬る作業とは何だろうか。
 
 多額に膨らんだ債務を、終了させる法律的な手段はいくつか存在する。それは自力で立ち直っていく方法と、会社を潰して、会社とともに長期固定債務を葬り去る方法とに分かれる。
 
■ 民事再生など
 民事再生法という法律があって、債務を大幅に減少させる手段がある。
 債権者にとっても、いつまでも回収業務を行うような関係は続けたくないと思うこともあるだろう(まれだろうが)。事業者は借金の重みさえなければなんとかなると思うことがあるだろう。両者の妥協を図ろうというのが民事再生だ。
 
 再生手続きでは破産されるよりはましだろうというプランを作る。そして債権者に賛成してもらい、再生計画の承認を裁判所から得る。それにより、債務を切りす捨てしまうのだ。全債務を一律9割カットし、残りの1割を5年かけて払う。
 
 しかし、これはけっこう時間がかかったり、費用がかかったりする。スポンサーを見つける作業も必要になる。中小企業では難しいことが多く、使い勝手が悪い。
 
■ 事業譲渡など
 企業から事業を切り離し、事業は活かし、企業は倒産させるという方法がある。
 倒産させられると、債権者は権利を失うが、いずれは倒産する企業の債権なのだから、冷たいようだが、あきらめてもらう外はない。
 
 事業は、別会社に移転させる。
 この手法は、企業分割、事業譲渡という方式がある。いずれも会社法に定められた、法的な手続きである。
 これは最近ではかなり一般的に行われおり、これによって、固定負債の足かせから脱却して立ち直った企業は多い。
 
 この事業譲渡方式で大切なのは、対価を考慮して債権者を害しないという考え方を常に考慮するということだ。財産を隠すことはもちろん許されない。