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№461 イノベーション

№461 イノベーション
 著書「マネジメントⅠ」の中でドラッカーイノベーションと直感との関係について触れている。わずかなページであるが、非常に興味深い。原文が当たれていないのは残念だ。
 
 イノベーションに関連して、彼は「将来の事業は、天才のひらめきによって切り開けるわけではない。」という。
 「企業が新規事業を開拓するとは、厳密には、現行の事業をとおして将来への備えを進め、新しい事業への脱皮を図る体制を整える、という意味である。既存事業、とりわけ成果のあがっている事業をつづけながら、将来の繁栄への礎を作るのが、新規事業を開拓する本旨である。」
 
  ドラッカーイノベーションは現在の事業活動の中にあるという。現在の事業活動に対して、体系的な分析を進め、現在の枠内で手持ちの人材を活かすことを考えることの中にあるという。ドラッカーは過酷な作業に耐えながら常にこれを行わなければならないという。
 
 これは現在の活動の中にこそ、イノベーションが存在するという考え方だ。企業は常に変化する。市場も常に変化する。「現在と将来とでは異なり、またそうでなくてはならない。」という確信が企業の永続性を支えることになるし、イノベーションの源泉となるという。
 
 私は、時々経営コンサルの話を聞くことがある。つまらないコンサルに限って、その場の思いつきを披露する(もっとつまらない連中は、経営分析とかいろいろ言って、商業学校の教科書の目次を並べるだけのような者だが)。大胆なアイディアを持つことが天才の証であるかのように振る舞う連中だ。こんな連中はおもしろいが、くだらない。
 
 ドラッカーによると、利益は「正当性を検証するための材料」という。利益を上げるというのは、そのアイディアが現実的で、社会に支持されているということだ。実践的なアイディアは、実践の中でしか生まれない。役立つアイディアは実践の過程で検証される。
 
 つまり、実践的なアイディアは今の事業の中で、実験と検証を繰り返しながら成長するものだ。
 
 但し、冗談のようなアイディアのシャボン玉から実践的アイディアは生まれる。繰り返し、繰り返し、吹き出すことによって、その中から生まれると思う。10個のアイディアの中から、1個でもものになればよい。その1個が成長すれば十分な収益を上げることができる。この冗談は、実践の中で、あるものはつぶれ、あるものは空に舞い上がる。