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№1256 世界を変える中小企業のイノベーション

№1256 世界を変える中小企業のイノベーション
 オープンイノベーション(英治出版)の勉強が続いている。
 「オープンイノベーションにおける大企業のコアコンピタンスとは何か」(Wither Core Competencies in an Open Innovation World?:Jens Fr?slev Christensen 2006)の続きだ。


 オープンイノベーションは大企業以外にもイノベーションは生まれているという考えを前提としている。現代社会は地球のあらゆる場所でアイディアが生まれており、技術市場は地球規模で拡大している(an expanshion in the global technological opportunity set,)という。

 中小企業からも世界を揺るがすようなイノベーションは生まれている。しかし、中小企業だけでは世界を変えることはできない。新しいアイディアが大企業と何らかの形で連係したり、大企業が小企業の買収したりするなどして、大企業の持っている「実践的な組織力」が加わる必要がある。

 この関係がオープンイノベーションの一つということになる。大企業側にも大企業の外に生まれているアイディアに対してどん欲となり、ひとたび有益なアイディアを判断したならば、大企業は大胆にそれまでのコアな体制を再編してでも実践的なものに作りあげていくという点が、それまでのクローズドな世界とは異なる。

 この考えが発達するなら、初期のアイディアを取り込む過程で中小企業はイニシアティブを発揮できるだろうし、自社の大きな飛躍を勝ちとることができるかもしれない。自社の自立はおそらく法と契約によって形あるものにできるだろう。

 さらに、この論文は大企業が大胆に中小企業のアイディアを吸収した場合には再び保守的な傾向に陥るという。たしかに軌道にのれば大企業の実践が維持されている。しかし、オープンイノベーションはそれだけにとどまらないらしい。

 新製品、改良された製品に対してさらなるアイディアが社外に求められていく傾向も存在するというのだ。確かに、メーカーが新製品を生み出し、その後の改良も自社だけのアイディアだけでは前進しない。新製品に対して中小企業がアイディアを作り続け、商品は進化し続けるという面もある。

 この論文は2006年で古いものだが、現在社会で起こっている企業連携や大企業・小企業の関係などをいくつも示している。なかなか優れた論文のように思う。