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№428 製品の表示、指示、警告

№428 製品の表示、指示、警告
 中小企業の場合、社員教育が徹底せず、ユーザーに対する、説明が不十分であることがある。また、説明書も不徹底な場合も少なくない。

 製品の製造者や販売者は製品についての用途や使用方法を説明しなければならない。製品について欠陥がなくても、ユーザーが使用方法を誤った場合には責任を負う場合がある。

 製造物責任は製品に欠陥があった結果重大な被害が生じた場合には責任を負う。欠陥の意味が難しい。これは「通常有すべき安全性を欠いていること」と定義されている(製造物責任法2条)。例えば、テレビが火を吹いたら、理由不明でも欠陥だ。それはテレビは「通常」火を吹くことはないからだ。

 でも、ガス湯沸かし器だったらどうだろう。不完全燃焼で一酸化炭素を発生させたら被害は重大だ。そんなガス湯沸かし器は欠陥がある。しかし、取り付け方法に誤りがあった場合はどうだろう。その場合にはガス湯沸かし器自体には欠陥はない。

 このような場合であっても、取り付け方法に説明の不備があった場合には責任を負わなければならない。
 この点,フランス製のガス湯沸かし器は換気口が必要だと説明しなかったばかりに一酸化炭素中毒を生じ、妊婦が流産した事例がある。裁判所は販売業者に賠償責任を認めた。これは製造物責任そのものではないが、製品の使用方法が問題になった事例である(東京地裁昭和45年8月31日判決、判時617号74頁)。

 さらに、製造ラインに手などが巻き込まれて、切断事故が生じた場合はどうだろう。手が巻き込まれるようなラインはもともと危険なラインだろうか。それはラインの欠陥の問題かもしれない。一方で、危険性があることは前提だから、機械の使い方の説明が悪かったということになるかもしれない。このように,説明と危険,欠陥の問題の区別は難しい。

 こんにゃくゼリーはのどに詰まって危ないというのはどうだろう。危険で欠陥商品と言いうるだろうか。ゼリーは普通食べたときに溶けてたり、容易にくだけていく。こんにゃくゼリーは溶けないし、固くて砕けない。
 販売するときに、老人、子供に食べさせてはいけません。ゼリーではなく、堅いので注意してください。など十分な説明があれば、危険があっても欠陥とは言い難い場合がある。

 このように、「説明」は商品の「危険」による責任を回避するものとして重要なことなのである。んまた「説明」はPL,製造物責任の問題でもある。