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№402 拡大生産者責任

№402 拡大生産者責任
(中小企業と環境)

環境問題は中小企業発展の重要なテーマだ。特に廃棄物問題は中小企業にとっておいしい分野ではないだろうか。

太陽光など再生可能エネルギー分野の企業は今や伸び盛りだ。私の知り合いの企業でも太陽光事業は急がしくて息をつく暇もない。まさに勝負の時を迎えており、ここで需要に応えきれなければ、会社のニッチは他の企業に奪われてしまうだろう。

もう一つ重要な問題はリサイクル問題だ。
廃棄物は原則としては排出者が責任を負担する。ゴミは捨てた者がちゃんと処理するというのは当たり前のことだ。しかし、なかなかそうはいかない。自動車や、テレビ、冷蔵庫などはいらなくなるとどこかの藪の中に捨ててしまう者が後を絶たない。廃棄物を受け入れるだけ受け入れて、後は野となれ山となれ(本当に山になっている)ということも珍しくない。

そこで、法律は排出者の範囲を直接捨てた者だけではなく、ゴミの処理を頼んだ者にも責任を持たせるようにしている。マニュフェストという伝票制度を充実させて、ゴミ処理を依頼した者はきちんと処理されているかどうか、伝票で確認しなければならない。不法投棄されていれば、ゴミを出した者にが責任を負担する。

拡大排出者責任はさらに、責任の範囲を商品の製造者にまで拡大しようというものだ。

メーカーは廃棄物について責任を負うという拡大排出者責任である。どこが拡大化というと、自動車を製造したメーカーが責任を持つ点で拡大だ。自動車の廃車、廃棄を頼む者が責任を持つことは当たり前だが、さらに、そもそも作った者が責任を持てと言うのだから、「拡大」しているということになる。

拡大排出者責任は循環型社会形成推進基本法という法律に基づいているが、この法律は、3Rと言われる、発生抑制、リサイクル、再使用をかかげ、社会全体の廃棄物量の減少を目的としている。生産者も社会全体のゴミ発生のメカニズムの一翼を担っているから責任を持てと言うのである。

企業は回収義務、処理義務まで負担させられ、ゴミ抑制のコストを引き受けることになる。経済の法則からすれば、企業はそのコスト削減のためにゴミが出ないように、リサイクルできるように製品を設計することになるだろう。

企業は「トヨタ方式」で、あらゆる部分、ねじ、梱包、に3Rのための改善を行う。こうした細かな部品は中小企業が調達するから、中小企業にとっては3Rを意識したものづくりは絶好の商機ということになるだろう。中小企業は拡大生産者責任をちゃんと勉強する必要がある。