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№1752 「CoCo壱番館」事件、ゴミってなんだろう

№1752 「CoCo壱番館」事件、ゴミってなんだろう

 「CoCo壱番屋」廃棄冷凍ビーフカツを「ダイコー」が「みのりフーズ」に横流し事件が話題になっている。

 廃棄物は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という長い名前の法律で規制されていた。これはもとは清掃法という公衆衛生の視点からの法律だったのだが、1970年代高度経済成長とともに廃棄物が大問題になり整備された。

 生産あるところにゴミ有り、生活あるところにゴミ有り、文明の発展と共に私たちの社会はゴミがどんどん出てきた。ゴミ処分は本来利益を生まないのでその処理にお金をかけない。そのために不法投棄が後を絶たなかった。

 廃掃法も今では相当厳しくなり、「排出者責任」「汚染者負担の責任」という考えが徹底してきた。この事件であれば「CoCo壱番館」排出者となる。マニフェストと呼ばれる廃棄物の流れを管理する伝票により適正処理しているか管理する義務が生じる。

 ところで、ビーフカツだが本当は食べられるものを売っただけということかもしれない。いったい何が廃棄物か、そうでないのか疑問に感じた人も多いかもしれない。もし、「CoCo壱番館」が自社で選別して自社では使わないが、食用にできるとして他の業者に売っていたらどうだろうか。もし、食用はだめでも肥料の材料として売っていたらどうだろうか。

 法律上廃棄物は「不要物」と定義されている。何が不要であるかは判断が難しく、最高裁は「その物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思」を総合的に判断すべしとしている。この事件はおからをもらって、ひきとって処分していた事件でおからは廃棄物と認定された。価値ある物ならお金を支払って仕入れているはずだというのである。

 日本には循環基本法という法律があって、資源の有効利用を義務づけている。「循環社会」という理念のもとゴミの発生抑制、再使用、再生利用が必要だという。捨ててしまう前にちょっと考えて、リサイクルしようというだ。こうした、再利用あるいは再生利用できるものを循環資源と呼んでいる。

 さて、問題の冷凍ビーフであるが、考えようによっては再利用、あるいは再生利用ということにもなる。実際、建築廃材のうち廃棄木材を許可なくひきうけた事件では、廃材でも資源であるとして無罪にしてしまった事件がある(水戸地裁H16.1.26)。これは「木くず」事件とよばれ、無罪はないなと思われる事件だ。

 しかし、再生利用と言ってもそれはすべて法に従ってこそ正当化される。CoCo壱番館は産業廃棄物として扱い、委託した。しかも、食の安全にかかわる問題だ。そうであるなら、廃棄物を再利用するならば法にのっとって初めて再利用可能にならなければ、不法な横流しや不法投棄をみすみす許すことになる。

 廃棄物の分野は専門性が高く、これが理解できる弁護士はそう多くはいない。