名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

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№104 複雑すぎるぞ、中小企業税制

中小企業法務 №104 複雑すぎるぞ、中小企業税制

 弁護士はその事件限りの専門家となる。例えば,税制がそうだ。弁護士は税務訴訟を進めることができるが,税理士の援助無くして裁判ができる弁護士は非常に少ないだろう。つまり,弁護士は事件限りで専門家になる力が求められるし,そのときに多くの専門家のネットワークを持つことになるが,その事件限りのことで、全体としてみれば税制にはシロウトだ。

 中小企業法務を考える上で中小企業税制は重要だ。中小企業にとって日常的には税理士さんの方がはるかに身近だ。税務上の問題は税理士の先生から問題提起され,弁護士がそれを整理して事件として仕立てていく。弁護士は訴訟に当たってもたくさんの資料を読みこなし,その事件限りの税務の専門家となる。もちろん,だからと言って税理士の仕事ができる訳ではない。

 中小企業税制を調べてみると実に複雑だ。
 中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制、情報基盤強化税制、この他,欠損金の特例や,交際費課税の特例,法人税率の特例などいろいろある。おなじみ消費税も中小企業向けのいろいろな制度がある。相続に当たっても制度は様々だ。

  特定同族会社の留保金課税という制度があり,法人の留保金に対する加算金の課税制度がある。これは企業がお金をためてはいけないという税制で奇妙な制度だ。中小企業の収入は変動が激しく,内部留保金を充実させることで体力を保つことできる。何で、そんな制度があるのだろうかと思ってしまう。

  こんなに複雑にしてよいのだろうか。シロウト目から見れば,中小企業のいろいろな税制は複雑すぎてだめだ。政府は中小企業政策に税制を利用しすぎている。この点、戦後以来の中小企業政策の中で、どのような税制が政策として役立っているのかきちっと検討する必要がある。私の目から見れば、中小企業の保護育成というのであれば,単純に減税すればよいと思ってしまう。トヨタなどあるところからとったらよいのだ。