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№1957 ソフトウェア開発契約での注意事項

№1957 ソフトウェア開発契約での注意事項

 当事務所は製造業系の顧客が多いが、中小企業であっても生産管理、さらには基幹統合に関したソフトウェアの導入が始まっている。こうしたソフトウェア開発を業者に委託する場合、契約上の注意事項はなんだろうか。

1. ソフトウェア開発の問題点
 【情報の非対称】
  ソフトウェア開発では情報の非対称が存在する。つまり、企業側は専門知識に乏しく、IT事業者側に専門知識や情報が偏っている点に問題がある。そのため企業側としては「ぼったくられている」という警戒感がぬぐえない。

 【注文者の協力】
  開発に当たっては企業側からの情報提供が必要であることはもちろん、使ってみて仕様に慣れなければならないということもある。注文者とIT事業者側との相互の協力、チームワークが必要不可欠だ。注文者の理解度、協力度、さらには要求レベルによって進捗度は大いに異なる。そのため、受注者側にとっても先が読めず、契約を決められない。

2. 契約上の工夫を行う
   契約の原点に戻る
  契約で必要な要素は、契約の目的(何を買うのか)、契約の値段(いくらか)、契約に必要な作業(何をしてくれるのか)の要素を確定する必要がある。ソフトウェア契約に当たっても確定に限界があるものの、可能な限り確定しておく必要がある。

  何を買うのか
  買主はシロウトなので何でもほしがる。作業中にも追加を言い始める。この点、当初目的をはっきりさせ、買主はぶれない姿勢が必要だし、IT企業は最初にぶれないことの重要性を説く必要がある。

  契約の値段はいくらか
  いくらわからなくても、計画は必ずたてる。フェーズと言われる各段階での計画を立てさせた上、その計画通りであればいくらで受注するか明確にさせておく必要がある。これは、どんな作業するかを明確にすることでもある。一般的には労賃でできあがっているので、1人あたり、一日いくら、一月いくらというような基準を立てさせ、それを工数でかけ算していく。

3. 透明性、明確性を確保する
  開発過程で問題になるのは、IT側が実施している作業が見えない点にある。そのため、IT側は現実に行う作業や、行うべき作業を具体的に依頼者に説明するべきだ。

  特に、IT側は安易に作業費用の上積みを求めてくる。「本当にやっているの」「何でこんな金額大きくなるの」と思われるようになれば、信頼関係は失われていく。甘い見通しをIT側は言わないことが必要だし、費用が拡大しそうであれば直ちに根拠を持って伝え、費用を抑えるための工夫も提案すべきだ。

  また、開発途上での議論はできるだけ、議事録にするのが望ましい。何か決めた場合、せめてメールなど文書で確認していくことが必要だ。注文者側は往々にしてこの作業を怠る。

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