№1647 M&Aでの中小企業の安売り
団塊の世代が作り上げた企業が売りに出されたりしている。
業績のよい中小企業は投資ファンドや大企業の投資部門が買い上げていく。これらが買い上げた企業のうち少なくない企業は転売して利益を上げている。
こうした投資系のM&Aでは異常な高利益を上げているのをご存じだろうか。
たとえば,ある中小企業が5億円で売買される企業の場合,MBOという奇妙なしかけによって,実質的には買主側は3億円程度しか支払わない。1億円は退職金として支払い,1億円は買取対象会社の融資を迂回させて買主に支払っていく。
ともかく,5億円で社長が売ったと言っても,実際には3億円でしか売っていないという現象が起こる。この奇妙なしかけによって実際には会社は大安売りされていることになる。
M&A後,業績は順調に伸びた頃,つまり,迂回的に借り受けた融資が返済されたころ,会社はまた売りに出される。その時には純資産+3年分の利益を基準にしたりするが,8億円とか9億円とかいった値段になっている。
2億円が5年後には9億円になったりするのでファンド側は笑いが止まらないことだろう。ファンド側は年20%以上の利益がないとだめだそうだ。
中小企業側は太ってはやせ,太ってはやせてファンドに利益を吸い取られていくという仕組みだ。ハゲタカとは言わないが,経営者側が余りにも自社の価値を知らないためこういう現象が起こっているということですね。
本当に企業を売りたいと思っている経営者は企業価値をよく知る必要があるし,ひょうっとしたら後継者である部下に売るというEBOという特殊な方法だってあるのでよく考えた方がよい。