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№1595 地球というものを考えてみては

№1595 地球というものを考えてみては

 一昔前,私たちは宇宙船地球号とうことばをよく使っていた。

 地球はノアの箱舟のようなものだ。全ての生物が生存をかけて地球という箱船に乗って宇宙という荒波を漂っている。地球は真空で放射線に溢れている宇宙の環境から私たちを守ってくれている箱船だ。

 地球号の住民達は相互に配慮しながら生きている。それがライオンのような肉食獣であってもそうだ。弱肉強食というのは生物界ではあり得ない。敢えて言うなら環境に適応できる者が「強」であり,環境に適応できない者が「弱」だ。たとえば高原という苛酷な環境下でも適応して生き抜いている草花は「強」で,環境変動によって最初に滅んでしまう肉食獣は「弱」ということかもしれない。

 ともかく,いまや人類は地球の隅々まで進出している。私たちが当たり前にあると思っていた大気すら変えようとしている。地球の温暖化は進み,北極海の氷は徐々に小さくなっている。氷を渡って猟をするシロクマは氷を失ったために猟ができず,減少の一途だ。太平洋のサンゴでできた島々は少しずつ姿を消しつつある。人類は地球号を破壊し他の住民を巻き添えにしていないだろうか。人類は環境適応能力に欠ける最も弱い生物になっていないだろうか。

 先進国のエネルギー消費が温暖化ガスを過剰排出して地球規模で影響を与えている。つい最近までは電気を自由につかうことは何でもないことだったが,私たちの利用するエネルギーが,つまり私たちがエアコンを使うことが地球のどこかの,たとえば南太平洋の,ソロモン島の,ラグーンの,椰子の木の茂る小さな小さな島を失う原因になるかもしれない。地球はそれほど1つのつながりを持つようになった。

 地球は1つの村だ。グローバリゼーションはどんどん進み,私たちは地球を1つの社会と考えるようになっている。同じ「人」でありながら方や戦争の恐怖,貧困,環境破壊にさらされており,方や大きな経済発展を遂げている。人は平等であるべきだという理念は世界に広がり,いまの地球は不平等かも知れないと疑う人は増えている。

 先進国は大量のエネルギーを消費して利益をあげ,CO2排出の負荷は途上国割り当てられる。地球温暖化の最初の犠牲者は地球上で最も弱い人たちから始まる。それは気候変動への適応能力がないからだ。

 私たちの地球は未来の住民も乗せている。地球という財産は祖先からの借り物で,未来の世代に預けるべきものだ。今の世代で地球を消費しつくし,浪費するようでは私たちは未来世代への責任を果たせない。1つの地球というのは私たちと未来世代とが共有するという意味でも1つの地球だ。

 池に最初の日に一枚の葉が落ち,次の日に2枚の葉が落ち,次に4枚の葉が落ち,さらに8枚の葉が落ち,16枚,32枚,64枚と落ちていく。ある時,池はまだ半分しか埋まっているにすぎないと安心していても,翌日には全部埋まってしまう。私たちはまだ大丈夫と思っていても,明日には破滅するかもしれない。破壊は少しずつ,破滅は突然にやってくるものなのだ。