名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1195 ツバル紀行 2

№1195 ツバル紀行 2
 2013年2月7日から2月12日にかけて、私達はツバル国フナフチ(Funafuti環礁)に滞在し、ツバルの人たちから聞き取りをするとともに、この国の実態を調査しました。地球温暖化によって海面が上昇したり、嵐が大きくなったりするのですが、ツバルは温暖化に伴う大きな悲劇が生まれる国かもしれません。

 ツバルは南緯5~11度、東経176度~180度の南太平洋上にある国で、多くがポリネシア系民族です。珊瑚礁によってできたこの島の標高は海抜2m前後と言われています。私達の聞き取りの結果によると、近年急激に海岸浸食が進んでいるというのが住民の実感です。

  ツバルの海岸の構造は海から砂浜、マウンドがあり内陸に連なっています。陸と濱野境界、マウンド部分にはアダン、ヤシが植えてあり内陸部のヤシ畑につながっています。海岸浸食の進行にほり砂浜の喪失やヤシやアダンの木の流失などにも現れているといいます。フナフチ環礁ではTepukasa Vilivili島が浸食により消失しました。同じく、フナフチ環礁Tepuka島でも海岸の浸食が進み、ココナッツ畑がいくつか無くなっているようです。

  またツバルではここ10年ほど住民らは異常な潮位を感じることが増えてきたといいます。私達は2013年2月10日午後5時ころに、潮位上昇とともに海水が空港中央部、空港中央部南側タロピット部分、空港北部集会場付近の3カ所で地面よりわき出ている現象を確認しました。満潮時間にあわせて徐々に水たまりが広がり、小川のようになって当たりに広がります。住民らの話によるとわき出た海水のためにタロやプラカといったイモ類の畑がだめになりの栽培が難しくなったといいます。タロピット(タロ畑)付近には民家があり、その民家の床下が浸水していました。
  
 海岸浸食は台風などの嵐の巨大化や海流の変化や海岸構造の変化などによって引き起こされます。浸食が直ちに温暖化の影響ということはできません。また、潮位の上昇も▽ざまな要素が関連しているため、単純に温暖化被害の進行を立証するものではありません。

 しかし、地球温暖化が進めば嵐の度合いはさらに進みます。海面は確実に上昇していきます。海抜2mの小さな島は、50年後には無くなっているかもしれないのです。今回の海岸浸食や海水の滲出といった被害は小さな島がいかに温暖化による被害に弱い者であるかを雄弁に物語っています。ツバルは温暖化による最初の被害者です。そして、次には日本の人たちが被害者になっていくのです。

 わたくしたちは、地球温暖化問題が何か抽象的なできごとととらえるのではなく、今現実に進行している時限爆弾のようなものと考える必要があります。

 写真は午前中は海水は無かった場所に、満潮時海水が地面からわき出てきて水浸しになってしまった様子を撮影しています。

写真   写真