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№1300 アイネ・クライネ・ナハトムジーク

 アイネ・クライネ・ナハトムジーク(Eine kleine Nachtmusikト長調 K.525は小さな夜の曲という意味なのだそうだ。言われてみれば何だかわいらしい。1787年8月10日にウィーンで作曲された。

 この時代の曲はどれも貴族的でこの種のかわいらしさがどこかにある。ベートーベンなどのその後の哲学的な重厚さとはえらい違いだ。人によってはベートーベン以来、音楽は神の国のものから人間の国のものに変わってしまったと嘆く人もいる。

 これはおおげさな言い方だ。ベートーベンの旋律は美しい。
 でも、私もモーツァルト時代の子供のようなくったくのなさが好きなので、その後の音楽に重苦しさを感じることがある。ショパンでさえ「人の世界の音楽」という印象を持つ。

 こうした問題は常に時代の雰囲気を背景にしているもので、モーツァルトやベートーベンが育ち、評価を受けてきた環境を反映するものだ。優れた芸術作品が生まれる背景にはその作品を生み出した優れた時代が存在すると私は信じている。

 ともかく、学生時代、司法試験の受験時代、アイネ・クライネ・ナハトムジークのかわいらしい旋律を繰り返し繰り返し聞いて、その度につきあっていた女の子のことを思い浮かべたものだ。

 多感な時代からは少しずれてはいるが、当時の日記や彼女に当てた手紙が残っていれば、それなりに若々しい情熱がきっとあったことだろう。今となってはすっかり内容は忘れてしまい、この音楽と結びついた当時のあの甘い気持ちだけがよみがえる。