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№1245 森の神、おおかみ

№1245 おおかみ
 オオカミは日本じゃ神様だった。

 もののけ姫では山犬の神、「モロの君」が登場していた。宮沢賢治の童話でもオイノ様が走り回っていた。同じ肉食獣でも、キツネやタヌキは友達になれるのに、オイノ様は舌をベロベロ出し、けっして人を寄せ付けなかった。

 オオカミは常に誇り高く、山の主にふさわしい。一族の結束も強い。
 アメリカでもオオカミは誇り高い動物だった。オオカミ王ロボは人と戦い、一族のためには命を投げ出して戦った。

 かつて、アメリカ人たちはオオカミは家畜を襲う害獣以外の何ものでもなく、オオカミを見たら撃ち殺すことになっていた。森林局で働いていたアルド・レオポルト(1886~1948)は山でオオカミを撃ち殺した。灰色オオカミの目から生命の火が消えていくのをみて彼はオオカミの山の中で果たしている役割を自覚した。生き物は共同しており、オオカミが山の中でその役割を持っていたのだと感じたのだ。

 生態系という系を考えれば当たり前のことだ。生き物は環境と調和できた種のみが生き残れる。人はけっして特別な存在でないことは自明のことがらになっている。私達は自然に対してもっと謙虚で、愛情を持つべきだ。

 アメリカではハイイロオオカミは絶滅してしまったが、1998年からカナダに生息していたハイイロオオカミを移入させる実験を始めた。生態系に不可欠なオオカミを再び森に入れることで森の生態系全体の健康を回復しようとしたのだ。

 その結果、鹿の頭数は調整され、ヨセミテ高原に草原がもどってきた。多くの生態系が回復したという。