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№764 都市型農業のゆくえ

№764 都市型農業のゆくえ
 農業は国の基本だ。それは単に食糧需給という問題にとどまらない。自然的、文化的環境を持続させる公共性を持っている。

 ある農家のために土地区画整理事業事件を引き受け、土地の60%弱の土地が削られるところを25%にとどまったということになった。知っている人は知っているが、区画整理事業で減歩率を大幅に下げた例は50年以上にも及ぶ我が国の土地区画整理事業法の歴史の中できわめてまれと言える。弁護士としては、この解決は自慢していいじゃないかと思っている。

 ともかく、農家として存亡の危機に立っていたところ、首の皮一枚でつながった。今後の課題はこの農家をどうやって事業として成功させるかという点にかかっている。名古屋市内の専業農家は絶滅寸前で、私の依頼者は希少な存在となっている。私としては何とか成功させたい。

 わが国の農業のあり方については農業基本法が定めていた。農業を営農の視点からのみ考えていた。つまり、農業を産業としてか見ない法律だった。この法律の下では農業は工業や商業と競争しなければならない。農業は市場での競争に敗れ、特に流通関係に押さえつけられることになったと思う。

 この法律は平成11年7月に改正され,新たに「食料・農業・農村基本法」となった。この新基本法は,食料の安定供給とともに農業の持つ多面的機能の発揮,農業・農村の持続的な発展に力点を置いている。

 一般に大都市における農業では,新鮮で季節感豊かな農産物を提供しなら,地域の景観や環境を維持し,最も身近にふれあえる自然として、都市住民からの強い関心と期待がある。

 新法下で、このような考え方で政策を進めることになっているが、実際には簡単ではない。都市には都市計画法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(大都市法)があって、名古屋市のような大都市には宅地こそが大切で農地はいらないという考え方で政策が進められているからだ。

 私の依頼者の農場では、可能な限り有機農法を取り入れている。田植えや稲刈りにはたくさんの人たちが寄ってきて手伝っている。秋の相撲大会もやれば、正月の餅つきもやる。何百人という人に支えられている。農業は国の文化、食料は国基本という考えで、これまでがんばってきた。この強みを生かして、うまく商売にならないかと考え、月に1回程度のミーティングを繰り返している。

 最近は、中小企業のおっちゃんたちを一度集めて、どんな経営がいいかアイディアを出してもらおうかとも思っている。
 このブログを読んでいるみなさま。いっしょにいかが?