№502 グローバリゼーションと中小企業
10年ぐらい前まではグローバリゼーションと言えば大企業のテーマだった気がする。それは単なる貿易の自由化という枠を越えたものだった。私たちもWTOの本質は何かを真剣に議論していた。
10年ぐらい前まではグローバリゼーションと言えば大企業のテーマだった気がする。それは単なる貿易の自由化という枠を越えたものだった。私たちもWTOの本質は何かを真剣に議論していた。
当時、WTOにもかなり夢があり、世界単一市場の形成も近いという感じだった。もちろん、WTOがもたらす負の部分もある。貧しい国がさらに貧しくなる、途上国のローカルコミニュティー破壊され、パームヤシがアジアの森林を破壊した。世界中にマクドナルドができて、国の文化的なアイデンティティが喪失する,などいろいろ議論された。
実際には、世界の利害は余りにも入り組んでおり、WTOという枠組だけで世界市場の形成は難しいということが理解され始めた。世界は2カ国間の自由協定を進めつつ、さらに、欧州、米州、アジアといった単位での自由化を進めつつ、WTOを発展させていくという戦略に変わり始めた。
いずれにしろ、交通、輸送、通信技術などが随分発達して、世界は急速に小さくなっているし、それに伴い市場統合も進んでいる。WTOは世界史的な流れであって、止めることはできない。
今日ではグローバリゼーションは私たちの生活のあらゆる部分に及んでいる。個々の市民、中小企業も当然のようにグローバリゼーションに巻き込まれている。中小企業は海外の安い労働力と競争し、あるいは利用する立場に立った。海外は中小企業にとっても市場となっている。日本市場も海外にとって魅力的な市場だ。
中小企業と言えどもグローバリゼーションを考えて動かざる得ない。
現在、民主党政権は「中小企業憲章」制定を検討中だが、その案の中に「海外活動の支援」が行動指針として示されている。この点について私たちはどのように考えたらいいのだろうか。
現在、民主党政権は「中小企業憲章」制定を検討中だが、その案の中に「海外活動の支援」が行動指針として示されている。この点について私たちはどのように考えたらいいのだろうか。