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№359 グローバリゼーションと経済民主主義

№359 グローバリゼーションと経済民主主義

ある中小企業の研究者の先生からメールをいただいた。

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 加えて、10年前までの「グローバリゼーション」の実態は「アメリカナイズ」でしたが、その後「グローバリゼーション」の胡散臭さや、日米のほかEU・中国を含めた「4極グローバリゼーション」とでも言うべき考え方が強まり、中小企業経営者として「グローバリゼーション」の用語をどのように理解するのかということ自体を問題にしなければならない事態になっています。
 今年のテーマであった「地域」ほどではありませんが、準備段階では定義論から検討する必要があるでしょうね。研究的にも興味のあるテーマです。
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 グローバリゼーションの最近の方向は非常に興味深い。かつて、WTOは世界が一つの市場となるという夢を持っていた。しかし、実際にはそう簡単ではない。何でも先進国で決められてしまう状況に、後進国はNOを唱え始めたからだ。WTOの会議は何度も失敗している。

 そこで、世界は2カ国間条約を先行させて自由経済市場を広げていく戦略に出た。その過程で、EUアメリカ、アフリカ、アジアと何となく、大昔のブロック経済を思わせるような状況が出ている。NAFTAはそうだし、アジア共同体構想もそうだ。しかし、自由経済市場の単一化を目指している点で、ブロック経済とは根本的に違う。

 ともかく、私はWTOはいろいろ問題が多く、貧乏人はますます貧乏人になるような体制ではないかと疑っている。が、自由経済市場の拡大、発展は歴史の方向だと思っている。むやみにWTOに異を唱えても、それは歴史の中で忘れ去られていくことだろう。
 
 私は、グローバリゼーションの中に、さらに経済の民主主義という考えを持ち込めないかと考えている。巨大資本だけが利益を享受するグローバリゼーションから、中小企業のようなローカルで小さな資本もお互いに利益を享受できるグローバリゼーションというのはできないだろうか。

 現実に、日本と中国、韓国、ベトナムなど中小企業の交流は進んでいる。日本の企業は中国に製品を輸出しているし、連携も図っている。輸送や通信技術の発達で、小企業であっても国境を越えて商売ができる状況が生まれている。こうしたローカルな経済、コミュニティの経済が尊重されるという価値観をグローバリゼーションに持ち込むことができればと思う。