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№388 金融円滑化法と中小企業運動(2)

№388 金融円滑化法と中小企業運動(2)
 デンマーク、ドイツとまわって帰ってきました。いろいろ刺激的は内容でしたが、このブログお休みとなってしまいました。

 中小企業団体は、各金融機関(保証協会なども含む)の相談体制の状況、公開された資料の検討など早急に行う必要がある。

 金融円滑化法が施行された。この法律は条件変更や追加融資について柔軟に対応するよう金融機関に努力義務を課した内容だ。銀行など各金融機関にはすでに相談窓口を設置する動きが慌ただしくなっている。いろいろ話を総合すると、確かに柔軟に対応し始めているようだ。

 法4条は次のように定めている。
 金融機関は中小企業者「の弁済に支障を生じており、又は生ずるおそれがあるものから当該債務の弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合には、当該中小企業者の事業についての改善又は再生の可能性その他の状況を勘案しつつ、できる限り、当該貸付けの条件の変更、旧債の借換え、当該中小企業者の株式の取得であって当該債務を消滅させるためにするものその他の当該債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるよう努めるものとする。」

 ここでの重要なポイントは「当該中小企業者の事業についての改善又は再生の可能性その他の状況を勘案しつつ」という点だ。これは従来から「目利き」と言われている問題で、帳簿上の数値にとらわれない、事業自体の可能性を考慮した基準だ。

 このような基準については、そもそもリスケを申し入れた企業は、事業自体が悪化しているのだから、上に言う「再生の可能性」と言っても簡単ではない。しかし、この条文は、リスケを申し入れる企業であっても、可能性があると判断できる場合があることを積極的に認めている点で意味がある。

 この法律施行に伴い、貸し付け基準を公開することになる(法7条)。これは従来無かったことだ。金融指導マニュアルが改訂されることになっているが、どのように改訂されるかは監視されなければならない。また、今回は銀行などの金融機関だけだが、保証協会にも協力する義務がある(法11条)。