名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№389 金融円滑化法と中小企業運動(3)

№389 金融円滑化法と中小企業運動(3)
 金融円滑化法は行政指導と情報公開によって実効性を担保しようとしている。
 この情報公開の動きは金融の民主化という点からすればきわめて重要な政策だ。

 法8条は金融期間に対し、行政庁への報告義務を求めている。これはリスケの申出に対して、銀行がどのように対応しているかを具体的に報告するものだ。リスケに応じるかどうかは事業の可能性に注目しなければならない。現在のリスケの必要が、不況に伴う一時的なものか、そもそも事業能力に欠けるのかを金融機関は見分けなければならない。それを報告するのだ。

 いったい、どのように報告するのだろうか。この報告内容、報告書作成のために銀行が作成したマニュアルは重要な資料となるだろう。それは、単に金融の交渉上有利というだけではなく、金融のあり方そのものを変化させる上で重要なものだ。

 法律によれば、主務大臣は調査結果を公表とするという。公表のレベルは不明であるが、中小企業団体としては、できるだけ具体的に、かつ、金融機関の格付けにつながるものとされるよう求める必要がある。
 放置すれば、全体の数しか出さない、あいまいなものとなろう。

 米国CRA(地域再投資法)の場合、地域貢献などについて、検査官が調査し、その結果から各金融機関を格付けしている。1989年にはこの格付け結果も公開されている。金融が地域経済にとって重要な役割を果たすことは言うまでもない。地域貢献と、事業としての持続性の調和は不可欠な課題だが、それは、情報の公開によって担保される。

 中小企業家団体としてはCRA法を情報公開のモデルとして、金融期間の地域貢献を基準にした格付けを求めていく必要がある。