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№131 中小企業憲章ノート EU憲章

中小企業法務 №131 中小企業憲章ノート EU憲章

 中小企業家同友会では中小企業憲章の草案作成作業に入っている。これを機会に私も検討してもようかと思う。

1. 中小企業憲章は,Think small first.の考え方に触発されて発案された。経済,社会政策を考える上で,中小企業のことをまず考えよということである。
  欧州中小企業憲章はEUというヨーロッパ諸国家の統合過程で中小企業の役割見直しが行われ制定された。この憲章は政策的宣言に過ぎないが,現在ではさらに法的拘束力を持つものになるよう運動が進められている。
  中小企業憲章の大きな特徴は中小企業が社会経済の中心になるべきであるという考え方になっている点である。それは単なる雇用確保などと言ったものではなく,文化的発展の基盤という位置づけが存在する。それゆえ中小企業憲章は社会,経済,文化と言った総合的施策という内容を含んでいる。
  中小企業憲章のもうひとつの特徴は,中小企業のことを第一に考えたかどうかと言うことを基準に各国の政策をレビューするよう求めている点である。中小企業の役割は現に動いている消費者らの同行を敏感に感じ取って常にそれにあわせて活動するという,社会の生きた流れを活性化し,創造的にするところにある。そのような活性化,創造性を生み出すものとして中小企業を扱ったかどうかを政策妥当性の判断基準とすることが重要である。

  このEUの憲章から得られる教訓は何か。

  ① 憲章では中小企業とは何かが明確に位置づけられるべきである。
   「中小企業は自由に発展しようとする国民の文化,社会,経済分野の多様な要求に応えることのできる,わが国の文化,社会,経済の単位である。」

  ② わが国の政策全体の中で中小企業行政の格付が明確に行われるべきである。とりわけ経済政策,大企業政策の中での相対的格付けの高さが明確にされるべきである。
   「わが国の文化,社会,経済政策の中で中小企業を第一に考えたかが政策妥当性の判断基準とならなければならない。」