日経MOOKでは「AIフロンティア」ということでAIが特集されていた。
東京大学大学院の松尾豊さんは「AIの世界でも、軸足がテクノロジーサイドからビジネスサイドに移ってきている」と述べている。つもりAIについて様々な実験や実証が一通り終わり「技術がコモディティ化して、AIでできることがある程度見えてきたという段階」ということらしい。人とAIとの「関係」が見えてきたということで、この関係に弁護士も関与することになるだろう。
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欠かせない人間との共同
確かに、AIは実践段階に入っていって、今後実践を通じて発達していくのだろ。OJTみたいなもんですかね。つまり、AIは確かに無限の可能性を秘めているが、いまは発達段階の初期で、人間との共同がかかせない。人間の感じ取る能力の高さ、知識や感情など統合する力は現代技術は及ばない。何もよりも、人が満足して初めて価値が生まれるのでいくらAIが発達したところで人が関与しなければ価値は生み出せないというところか。
消極・積極と両面ある情報管理
法律的問題からすれば、現時点でAIがもたらしている問題点も徐々に明らかになっている。ビッグデータの処理と不即不離のAIは情報管理は大きな課題だ。これは単に情報保護という消極的な面から、情報を積極的に流通させるという(情報が金になる)積極的な面と両面を合わせ持っている。
悪い教育であれば悪い子(AI)が育つ
AIはディープラーニングという「ニューラルネットワーク」を基礎とする学習手法が使われているそうだが、教育の方法が悪ければ悪い子供が育ってしまう。人間は悪い心や何か感情にとらわれてしまう弱点を持っている。こうした人間のバイアスや偏見を学習してしまうかもしれない。国民の理性が麻痺し、トランプのようなとんでもない人物が大統領になっているアメリカだが、AIがそれを助けているのではないだろうか。
依存度も高いので被害も大きい
AIの判断が誤った場合には処理範囲が広範囲なだけに被害も大きい。たとえば、都市かAIでマネジメントされ、自動運転の自動車が行き来する場合、AIが誤れば深刻な事故、都市機能の麻痺が起こるだろう。
AIなどの進歩に法整備は追いつかない
AIについては法整備が圧倒的に遅れている。AIで次から次へと新しいビジネスが生まれているが、これらは既存の規制の枠組みを超えている。シェアビジネスの分野は典型的だろう。こうしたことは行政マンに任せておくとしても、個別事例を担当する弁護士は何を考えたらいいのだろうか。
弁護士の役目はテクノロジーと個人・個別企業との「関係」の部分で発揮される
現時点でAIのやれる範囲はそれほど広くなく、人間との共同が必要不可欠だということが大切だ。というか、落合陽一さんによると、人とテクノロジーが融合していく世界が未来であるならば、まだ、共同と言っている今の段階はまだ「関係」そのものが新生児程度の発達というところか。この融合「関係」、個人とテクノロジーの関係のあり方に弁護士はかかわることになるかもしれない。