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№2193 僕だって何かできる

№2193 僕だって何かできる

 ティール組織」(英治出版)には自主経営(self management)を詳しく紹介している。米国の国際的企業AES社,創始者デニス・バーキの少年期,ケニーという子供の逸話を紹介している。ケニーは前の家で虐待を受け,バーキ家が里子として引き取っていた

 「ある日,母親はいつも通りのやり方で夕飯の段取りを終えていました。台所では皆が忙しく働いていました。私は16歳で,エンドウ豆のクリーム煮を任されていました。弟は木材を納屋から台所の隣にある保管所に運び込んでいました。ケニーの姉たちは,使った鍋釜類を片付け,テーブルの食器に並べていました。誰もケニーに注意を払っていませんでした。すると突然,2歳のケニーは,自分のトレーに載っていたスプーンを持ち上げて『何かしたい,何かしたい,何かしたい!』と歌いながらスプーンのトレーの上でカンカンたたいたのです。」

「ゆがんだ笑顔をつらい過去を背負ったこの子は今,『僕も何か役立ちたい。僕だって何かできる。みんなの仲間に入りたい。僕はここにいるんだ。僕も働いて楽しみたい!』,そう言っていたのだと思います。このときのことを長年にわたって何度も思い出すうちに,私は母の圧倒的な影響力で『職場で楽しむ』という考え方をかなり幼い頃からすり込まれていたのだと思うようになりました。」

 「母親は,罰せられる恐れや褒美をもらえるという期待感からではなく,誰もがやる気を持って何かプラスのことを成し遂げたいと思えるような環境を,不思議と作り出していました。そして,目の前にある仕事をやりとげる能力に絶対の自身を持っていました。」

 AES社は従業員4万人の組織でありながら,1チーム15人を単位とした自主組織が機能しているのだそうだ。この会社はエネルギー供給会社だが,1982年に創立され,2000年には4万人規模に拡大し,世界31カ国の送電網を運営している。

 「ティール組織」ではAESばかりではなく,さまざまな自主組織によって成功している企業が紹介されている。

 組織図も無く,管理職もない組織がどうして機能しているかはまだわからない。たぶんこの本の残りの部分に書いてあるのだろう。しかし,このような組織が本当に世の中にあるのなら,私は組織に対する考え方を大きく組み立て直す必要がある。

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