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№2191 出荷品に欠陥があったとき

№2191 出荷品に欠陥があったとき

当事務所は製造業系の顧客が多い。
 製造業は高品質,安価,大量,短納期で勝負する。高い信用から顧客はジャストインタイムでの納品を期待して発注してくる。長く製造業に従事してきて,ほとんどミスがないというのは驚くべきことだ。

ミスが発生してしまったら
 しかし,人が関わる以上どうしてもミスが起こる。一個の部品はきわめて少額でも大量販売するので対応となると多額の費用がかかる。安い部品でも機械の重要な部分を担うこともある。事故でも起こればたいへんなことになってしまう。経営者としては大きな覚悟で問題に当たらねばならない。

まず,業務提携契約を検討しよう
 ほとんどの経営者は業務提携契約書を意識していない。しかし,不良品が出てしまった場合の対応について記載してあるのが通常で,記載内容によってはかなりの安心材料を得ることができる。

 たとえば,クレーム対応を交換,修理,代金減額に限定していれば,それ以上の責任を負わないということになる。保証期間を半年としてれば,それ以上の責任を負わないことになる。

欠陥がもたらす実害を正確に予測する
 欠陥と言ってもそれほど実害がないことがある。
 日本の製造業はとても熟練しているので,見た感じで欠陥を見抜く。それにもかかわらず見落とされた欠陥である場合,よくよく検査してみると,影響度が小さいこともある。設計段階で余裕を考慮するので少々のずれは対応できてしまうことも少なくない。

 経営者としては,お客さんからのクレーム,自社のミスにすっかり動転してしまい,「大変,大変」と問題を過大に捉えてしまうことがある。冷静に問題の大きさを追求する必要がある。

正直さ,スピード感をもって対応する
 お客さんとの対応はスピード感をもって問題をつきとめ,できたら24時間以内に自社の責任の姿勢を示すことが肝要だ。
 ① 謝罪
 ② 納品した不良品の売買代金の返還
 ③ 不良発生の原因と当面の対応策の報告
 ④ 不良部分がもたらす影響調査についての協力
 ⑤ 今後の損害については誠意をもって協議する

無理な約束をしない
 お客さんにはスピード感あり,丁寧かつ誠実な対応を必要だ。協議の時間を惜しんではいけない。しかし,だからといって決して無理な約束をしてはいけない。事例の法律的な限界を見定め,それにプラスアルファの対応をするかどうかを決めていくことになる。当然顧問弁護士との協議は必須だろうと思う。

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