名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№2188 管理職のない会社,ビュートゾルフ社

№2188 管理職のない会社,ビュートゾルフ社

ビュートゾルフ(BuurtZorg)社が注目されている
 オランダのビュートゾルフ(BuurtZorg)社は地域密着型看護を提供する会社だ。2006年に4人の看護師によって設立され、わずか10年で年間収入約2.3億ユーロ(2013年)に達するまでに成長した。利益率約8%という実績を上げ,在宅患者からも高い評価を受けている。現在では世界各国に展開し,日本でもビュートゾルフジャパンがある。
 
管理職のない会社
 ビュートゾルフ社が注目を浴びているのは,細かな管理を捨て去り,通常6名程度(最大12名)の小規模チームを単位に,自主的運営に仕事を完全に委ねている点にある。管理職は存在せず,コーチはサポートに徹する。例えば,「あなたの提案は何ですか」「その提案の理由はなんですか」といった質問をすることに徹し,判断や評価を下さない。

間接部門は最小化される
 間接部門は最小化され,北オランダの都市アメロでは7000人の看護師に対し,スタッフは30名しかいない。「OMAHAシステム」と呼ばれるビュートゾルフ独自のプログラムによりウェブ上相互交流し,共同作業の効率化を図っている。 

ティール組織」
 フレデリック・ラルーはその著書の中でビュートゾルフの自主管理システムを「ティール(進化)組織」と呼び,トップマネジメントのもと厳しく統制していく組織(彼は「達成型組織」とよんでいる)と対比している。

 管理型組織の会社では個々の看護師たちはスマホなどの端末で管理され,生産性を高めるために在宅中の衣類の交換,注射,聞き取りなど必要な作業がが時間単位で管理された。看護師はシステムの中の一つでしかないし,患者は利益を上げるための商品でしかない。組織全体の管理が看護師の自主性を奪い,患者の満足を奪い,かえって生産性は下がったというのだ。

自主的な「集団的知性」が生産性の鍵だ
 ビュートゾルフはこれと全く正反対の経営方式をとった。看護師たちは仕事にやりがいを見いだし,患者と看護師との信頼関係が生まれ,患者はサービスに満足するようになった。自主的な「集団的知性」が生産性の重要な要素であったことをビュートゾルフは証明したというところか。

自主的共同作業には逆に高度なマネジメントが求められる
 ビュートゾルフはけっしてマネジメントを否定する訳ではない。むしろ,高度なマネジメントを発揮して,「集団的知性こそが優れた意思決定を生む」と全員が理解でき,自主経営が実践で機能するよう具体的な支援のプログラムを開発したところに,この組織の優位性がある。

名古屋E&J法律事務所へのお問い合わせはこちら