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№1986 顧問契約の核心、どこに価値があるか

№1986 顧問契約の核心、どこに価値があるか

 「経営コンサルティング」(ILO編)を読み返している。少々退屈だが得るものも多い。この本はかなり古い本だが「コンサルティング」という職業を多角的に分析している。

顧問契約はコンサルタントの一つと言ってよい。
 依頼者はコンサルタントに「公平で客観的な助言を受けることを期待している」。自分の固有の価値観を持っている。会社には固有の文化がある。これに対して別の切り口での助言を求めているのである。

 助言というのは実は「信頼されるアドバイザー」の地位ができあがらないと本当に意味ある形ではできない。企業が支払う顧問料は実はこの「信頼関係」に対する対価のようなところがある。

公平で客観的な助言は意外と難しい
 事業者は日常業務で出る疑問に対して、弁護士に「公平で客観的な助言」を求めてくる。
 たとえば、サービス残業が日常化していれば、それは是正のプロセスを進言する。怒りにまかせて即時解雇するというのであれば、解雇がもたらす企業リスクの大きさを進言する。そうでなくても携帯電話で日常的に電話で尋ねるということもある。

 簡単に言っているが、実はこのような関係になるには時間をかけた双方の努力が必要になる。少なくとも弁護士側の努力無くしては築き上げられることはない。

弁護士との信頼関係はこんな風に生まれる
 たとえば、一つの裁判案件の依頼を受けた場合、私たちは依頼者と何度も打ち合わせるので依頼者との間には強い信頼関係が生まれる。
 裁判案件のない場合であっても、依頼者に解決するべき課題をあることによって、依頼者と弁護士とはそれについて協議し、徐々に信頼関係を築き上げていく。

すぐれた弁護士は依頼者から「知識を引き出す」
 これは依頼者と弁護士との情報のやりとりによって、成果を生み出していくということになるのだが、この時、依頼者から「知識を引き出す」作業が行われることによって、成果が生み出されていく。

 依頼者は法律知識の重要な部分を理解することにより、それにふさわしい情報の提供が行われる。そして、依頼者自身が法律を利用することができるようになる。
 解雇にかかわる法律知識が身につけば、従業員とのやりとりも全く異なったものになる。依頼者は「法律を使っている」という実感を持つことだろう。

顧問料は弁護士との信頼関係に対する対価である
 「1度、コンサルタントがクライアントの信頼されたアドバイザーになると、クライアントとの関係はより非公式で開放されたものになり、時には特別扱いされることもある。コンサルタントとクライアントは、他の状況では言及されることさえないようなデリケートで個人的な問題や仕事上の極秘の課題も含むさまざまな事柄に共に当たることが可能となる」(85頁)

 このような強い信頼関係は、顧客、弁護士双方にとって大きな財産となる。

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