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№1963 知的財産の管理について

№1963 知的財産の管理について

 特許、実用新案、商標、意匠、著作権などは知的財産として法律により強力に保護されている。中小企業にあっても知的財産を事業戦略にどのように生かしていくかは重要な課題だ。

 これらの知的財産は人や企業の創造的な活動から生み出される情報だと言っていい。しかし、情報はそれだけでは意味をなさない。媒体を通じて現実に作用しないと価値は生み出さない。たとえば、新技術も技術を利用して生産されることで価値を生み出す。知的財産を保護するということは、現実の利用方法も含めて保護される。

知的財産の保管、維持
 そのため、知的財産の管理と言うとき、その利用の実態にあわせた管理方法が求められる。企業によってはグループ内の特定の企業に管理を集中させるやり方をするが、こうなると、他のグループ企業の利用が難しくなるし、特許によるロイヤリティの分配をめぐって問題が生じやすくなる。一方、グループ内に分散させると知的財産が広がらず、そのまま埋もれてしまうということだってある。

保護に値する利用環境を整える
 知的財産も利用しなければ宝の持ち腐れだ。保護されるだけの利用環境を整える必要がある。たとえば、商標の場合、特定の商品、サービスが商品の目印として利用されているという実態が必要だし、そうでなければ保護に値しないということになってしまう。商品や広告には登録商標であると必ず表示しておく必要がある。

他人の利用を防ぐ
 さらに、管理するとは他人の利用を防ぐということに他ならない。そのため、不正使用を見つければ直ちに行動を起こすことが必要だ。

【知的財産】
   特許庁のHPより → https://www.jpo.go.jp/seido/index.html 

特許、実用新案
 特許は発明を保護している(特許法第1条)。発明は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを保護の対象としている(2条)。
 特許は特許公報によって技術が公開されてしまうので、特許とすることでかえって模倣を誘発してしまうことがある。

商標
 商標とは、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)とされている。商標にはブランドイメージがついているが、それを見るとどこの商品、サービスが分かる。「宅急便」と言えばヤマト運輸とイメージできる関係が重要だ。
 マーク、ネーミングといった文字、図形、記号、立体的形状やこれらを組み合わせたものがあり、さらに平成27年4月から、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標についても、商標登録ができるようになっている。

意匠
 意匠は、物品のより美しい外観、使ってより使い心地のよい外観を探求するものだ。物品(物品の部分を含む。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって視覚を通じて美感を起こさせるものを保護の対象としている(意匠法2条)。

 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう(著作権法2条)。他の知的財産と性格が少々異なり、登録無くして権利は発生するし、作成者の「人格的利益」も保護の対象としている。

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