№1933 法科大学院を例に戦略立案をやってみると
弁護士は司法試験に合格できないとなれない。司法試験は原則法科大学院を卒業しないと受験できない。その法科大学院は多すぎてしまって、大学院間競争が激しく、閉校に追い込まれるところも少なくない。文科省はどんどん淘汰していく方針だ。
価格競争には限界がある
東大や京大といった有名大学を除き、各大学院とも受講料が安いとか、特待生制度が充実しているとかいろいろ工夫しているようだ。しかし、これは結局価格競争をしているようなもので、あるところで下げ止まり、やることがなくなってしまう。そうまで人が欲しいのかと大学院の品質まで低く見られてしまう可能性だってある。
価格競争では他との差別化は不可能だ。法科大学院はそういう業界だ。そう、価格競争では勝っても一時のことだ。重要なの集中と選択により差別化を図っていくかということになる。そのためにまず自社が所属する業界内でのポジションを確定することになるだろう。
業界内での自社のポジション検討から始める
業界内でのポジションを決めるためのマトリクスは有益だ。
このマトリクスの一辺は大学で言えば偏差値などから割り出されるブランド力だ。東大、京大と言った有名大学グループ、過去司法試験合格者を輩出してるが少ないグループ、めったに司法試験合格者を輩出しないグループなどに分けられる。
もう一辺は東大、京大からの距離、あるいは親の所得レベル、実家の位置などではないだろうか。東大、京大からの距離はそのまま大学のブランド力に比例しているようにも感じる。京大に運悪く落ちて立命館に入学するなんて学生はけっこういる。
業界内ポジションに相応した顧客層の分析
次に顧客層の分析を行う。業界でのそのポジションから期待できる顧客層はどのような学生だろうか。このような学生がなぜ司法試験を目指すという決意をするのだろうか。なぜ、当該大学院を選ぶのだろう。
顧客層の分析から差別化戦略を作る。この場合、自社の強みを明確に意識することになが、自社のアイデンティティにかかわる問題となる。ある私学がなぜ支持されているのか、なぜ学生がやってくるのだろうか。強み、弱み分析をもとに集中と選択が行われ、競争戦略が生み出される。これが非常に難しい。
商品の品質こそ第一
このとき、いろいろ言っても、その基本となるのはなんと言っても商品の品質だ。各大学がどんな法曹を生み出したいと思っているか、それに向けてどれほど適切なプログラムが用意できているか、質の高さがためされる。どのような宣伝も結局のところ品質のよさが無ければ効果は発生しないし、効果的な宣伝もできない。
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