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№1857 無駄に資金を使わないで!

№1857 無駄に資金を使わないで!

 最近新しい顧問先の事業承継の相談を受けている。
 顧問先会社とは別に経営している先代の事業の債務がかなり大きいため、これをどうするかという相談だ。負債が大きくてもつぶすには惜しい事業だ。

 聞き取りを進めていると、先代の事業を救済するためにかなりの資金を投入している。負債額は売上金額を上回っており、私の目から見るといくら支援をしても早晩つぶれていくような状況になっていた。救済のための資金援助も言っては悪いがどぶに捨てるようなものだ。

  こうしたお金は少しでも無駄にできない。「浪費」を続けるとせっかくの生き残り資金もいざ生き残りのために使おうという時に底がつきてしまう。資金を無駄にしないよう、資金が生き残りに役立つようしっかりとこうした問題に詳しい弁護士に相談するべきだ。

 負債の状況がかなり悪くなると、銀行も当然このままでは倒産するだろうと考える。銀行にとっても早期の着地点は求められるところだ。この案件では事業譲渡による事業再建が模索されることになっている。

 つまり、事業そのものはけっして悪いわけでは無く利益を上げている。顧問先会社がきちんと介入したおかげで事業は上向いている。経営環境からすれば間違いなく利益があがる構造になっている。そこで、顧問先会社が先代の事業を買取り、買い取り価格で借金などを返済しようというプランが考えられる。

 こうした事業譲渡による事業再生プランは債務を一部切り捨てていくので商道徳からいって慎重になるべきであるし、税務上、法律上の「潔癖さ」が求められる。事業自体の信用を失ってはせっかく承継した事業もうまく立ちいかなることもある。

 弁護士は慎重に進めるのだが、基本的には全ての法律的なプロセスは残らず行っておく、適正な価格で適正に買い取る、関係者にはきちんと情報を公開していくというのが原則的な姿となる。

 法的なプロセスは特に重要で事業譲渡契約書も整備する。たとえば「屋号」などでもきちんと処理しておかないと「商号の続用」と言って全ての債務を承継してしまうという効果が生まれる。ほかにも否認権や詐害行為取消権といった法的な問題の処理も射程に入れることになる。もちろん、刑事事件などにならないとよう細心の注意を払うようになる。

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