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№1777  競争勝利のベストポジション

№1777  競争勝利のベストポジション

 マイケル・ポーター「競争戦略論」(ダイヤモンド社)を読み始めている。ポーターの論文集だがとてもおもしろい。今回は1996年の論文だが「戦略とは何か」と説明している。

1. 効率と競争とは違う

 ポーターは効率化と戦略とは違うという。つまり、高効率あげて低コストを実現することによって競合他社に打ち勝つというのは戦略ではないというのだ。日本企業はオペレーション効率をあげて低価格、高品質を作り上げて競争にうちかった。しかし、効率化は競争戦略そのものではない。

 確かに、効率の継続的改善は「卓越した収益性を実現するための必要条件」ではある。しかし、効率をもって競争の武器とすれば、不毛な競争が続きついには低い利益率に悩む結果になる。「オペレーション効率のみに立脚した競争はお互いを傷つけるだけであり、競争を制限することでしか止めようのない消耗戦になってしまう。」

2. ポーターは「戦略の本質は差別化」だという。
 「戦略の本質は活動そのものにある。同じ活動をライバルとは違うやり方で進めたり、競合他社とは違う活動に着手する、それが戦略である。」それは、自らのポジションを発見し行動することで生まれる。たとえば、スウェーデンの家具メーカーイケアは「低予算でもスタイルにこだわりを持つ若い家具購入客」をターゲットに特化した製品の提案、販売方法の提供など行って成功している。

 「戦略とは、他社とは異なる活動を伴った、独自性の価値あるポジションを創り出すことである。」「戦略的ポジショニングの本質は、競合他社とは違う行動を選択することである」。その違う「行動」に我々は注目しなければならない。ポーターは独自の立場で行動することが競争の本質で有り、そこで顧客を創造することが戦略的な処理としている。

3. ベストポジショニングのための3つの視点
  ポーターは自社のポジショニングを定めるために3つの視点を提供する。

 ① 製品種類ベースのポジショニング
   競合他社とは明確に異なる一連の活動を通じて、その業界の一部に特化する手法である。ジフィ・ルーブ・インターナショナルは自動車メンテナンス中のとくに潤滑油交換業に徹して成功した。

 ② ニーズベースのポジショニング
   特定の顧客グループのすべてのニーズを満たす方法である。イケアは若い層の顧客のすべてを満たしたいと考えて家具を開発、販売している。ここで重要なのは製品はもちろん、販売がニーズを満たすための最適な活動と結びつけているかどうかが重要となる。

 ③ アクセスベースのポジショニング
   顧客が企業にアクセスする方法に基づいて顧客をセグメンテーションする場合である。たとえば立地などは典型的は。友人の実家は長浜市石田町という農家の多い地域だが「ろうそくや」というコンビニが長く経営を維持している。近くて便利だし、仏事など行事に必要なものが備わっているからだ。

4. 戦略はニッチを探りあてることではない
  このように3つの視点からポジショニングを捉えるのだが、ポーターは「行動」との関係を重視している。絶えず顧客創造のためにポジションを探り当て、「創り出す」ことが戦略の本質だというのである。


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