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№1776 MA(マーケッティング・オートメーション)

№1776 MA(マーケッティング・オートメーション)

「最新マーケッティングの教科書2016」(日経BP)はなかなかおもしろい。データドリブン(data driven)という考え方は大量の顧客データを瞬時に処理し、日々の事業に改善を加えようというものだ。このアイディアでは「個客」つまり個々の顧客への対応を可能にしうるとしている。

 大量販売型のビジネスでは客の個性への対応は後退しがちだ。しかし、データの大量処理が可能であれば可能性がある。つまり顧客の志向が適切に分類、分析でき、その類型にみあった行動を決めておけば顧客にしてみれば自分の志向に応じた対応をしてくれているということになる。

 現代コンピュータは囲碁チャンピオンにも勝てるだけの処理能力がある。それよりは遙かに処理量が少ない顧客データの処理はきっと簡単にできてしまうのだろう。もっとも、顧客をどのように整理するかは結局のところは人の経験的判断に因らざる得ないところがおもしろい。

 潜在顧客も含めて顧客を分析し、誘導し、ついには「購買」というゴールまで誘導することはデータによるマーケッティングの大目標だ。

 本書にはコンテンツマーケッティングについての記事はそのことについて触れられている。これはコンテンツを顧客に継続することにより、認知層→比較・検討層→購買層と徐々に顧客との接近を図っていく。さらに、顧客生涯価値(LTV)が考慮され、顧客の「忠誠」を作り上げていく。

 ここでは経験的情報も含めた様々なデータから顧客像(ペルソナ)を作り上げる。それを組織が共有することで、組織的に継続的に適切なコンテンツを提供して、顧客の誘導が図られていく。

 この「教科書」にはいくつかの最新のマーケッティングが紹介されているが、データの大量処理を前提としているため中小企業に即座に応用できるとは限らない。しかし、ここで紹介されているいくつかのマーケッティングのエッセンスは中小企業経営に役立つ。お金のかかる大量処理はあきらめるにしても、ひょっとしたら企業規模からすれば「手作り」データで十分補えるかもしれない。

 ここで紹介されている手法は要するに普段「現場情報」と言われているものから、顧客を類型化し、類型に応じた商売をして最後には「購買」というゴールにたどり着くというものだ。この「現場情報」は中小企業においては、「勘」として日々感じる情報が総合化されている。

 だから、この最新マーケッティングから学ぶべきは「勘」として扱われているものを客観化している点だと思う。

 統計的処理するために大量の顧客情報が科学的に分類され、この科学的分類に応じて提供すべき情報が整理され提供される。この提供された情報を基に行われた行動(営業や事業など)によってまた新しい顧客情報が生まれる。何が新しい顧客情報化は重要な科学的視点だ。そして,その新しい情報に基づいて徐々に行動を変化させ、顧客を誘導させている。

 この分析の手法が中小企業にとって学ぶべき点だ。データの専門家、大企業はこうした大量でランダムな現場情報をどうしているのだろうか。この「教科書」から垣間見ることができる。

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