№1650 男女関係と倫理
法律は夫婦の関係には本来立ち入らない。
しかし,離婚や婚約が法律的な関係である以上,私たちは男女の問題に立ち入らなければならない。こうした世界については弁護士の価値観がかなり出るのではないだろうか。
世の中には卑怯な者,倫理的な正義を貫く者と実に様々だ。
男女の関係では,その人が誠実であればあるほど,倫理的であればあるほど,その人は損をしてしまう。誠意をもって尽くしていても,浮気を平然と行い,浮気を隠し,男女の関係が冷めたのはおまえのせいだ,おまえに愛情がたりないせいだと言ってのけるやからは普通に存在する。
少なくない女性がそうした言葉に責任を感じ,家庭を壊したのは自分のせいだなとど責めることもある。しかし,いくつかの客観的な状況を整理すると,男性の身勝手な理屈が見えてくることが多い。調べてみれば果たして浮気だったという例は普通にある。
こういう場合,弁護士としては相談に来た女性が問題の本質を見つめ,自立を果たせるよう援助することになる。そして,卑怯者を卑怯者として正確に理解することを勧める。そして,自分が相手にも家族にも誠実に対応しやましいところは無いことを理解してもらう。
私の個人的な考えだが,人生に勝ち負けがあるとすれば,人生においては誠実であること,倫理的であることのほうが人生の勝者であると思う。それは,子供や両親,友人から本当の愛情を受け取る機会を得るからだ。それに,自分にやましさがないことほど幸せなことはない。
世の中には自分なりの正義を貫く例もある。守秘義務があるので詳しくは言えないが,自分や子供の名誉のために人生を貫こうとする人も少なくない。妻や精神的に病んで離婚を求める例もあるが,妻を最後まで護ろうと離婚を拒むこともある。結婚とは人の人生を引き受けるということだ。父親としてどんな時でも子供を護るという強い決意の例もある。
こういう人たちからは人として学ぶべきことは多い。