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№1631 当事務所の経営戦略

№1631 当事務所の経営戦略

1. 競争戦略の選択
 法律事務所の競争は激しい。弁護士業のような専門性の高い職種は「規模の経済」はなかなか働かない。大量処理によってコストが下がるといっても弁護士の場合は知れている。むしろ,大量処理を目指すことで依頼者の信頼を失っていくだろう。

 私たちが持つべき戦略は当然「差別化と集中」だ。私たちの戦略は高技術製造業に似ている。オンリーワンをめざして技術を磨き,社会に認知されていくという戦略になる。差別化とは特定の価値に特化して特定の顧客の要請に応えていくことになるだろう。

2. 差別化戦略の選択と業界での地位の考察
 業界と言っても単一ではない。自社の歴史,経営資源の状況,顧客の分布などから考えて自分の立ち位置を見極めることが不可欠となる。大企業専門の法律事務所はそのように特化してそのような差別化戦略を展開している。

 私の事務所の場合は中小企業が対象なので,中小企業を顧客としている法律事務所間の競争ということになる。この中小企業を対象とする法律事務所というような業界内のグループ分けを行い,さらにその中での競争パターンを分析することになる*1。この競争パターンの中で優位を保つのか,パターンの枠組みから外れたところで競争をしかけるのかは重要だが,当事務所の基本的考えは「競争を回避する」ことでニッチを獲得することを心がけている。それは競争は精神的ストレスが大きいからだ。

3. 差別化戦略のポリシー選択
 差別化というのは単純に商品の差別化だけを意味しない。商品そのものの高品質は当然含むが,顧客への対応のよさ,早さといった付随的なサービスの差別化の要素となる。顧客との個人的な人間関係は弁護士業界にあっては他社との差別化の要素としては非常に大きい。事務所内での整理整頓は守秘義務というサービスの外,顧客の安心感という差別化要因を作るだろう。情報システムの整理も同じく,高品質リーガルサービスというだけでなく,顧客との意思疎通にも使えることになる。

 こうした差別化要因は多様に存在するので,基本的なポリシーを選択した上で体系立って戦略が実施されなければならない。当事務所の差別化の基本的なポリシーは「経営判断に踏み込む」というものだ。経営者はさまざまな経営判断をするが,その一つ一つに法律家としての専門性を発揮することを目指すことになる。当事務所ではこの経営判断に踏み込むための諸要素を分析検討している。

4. 顧客との関係の形成
 企業の価値は顧客に選択されることで実現する。企業と顧客との「関係性」に価値の源泉がある。ポリシーが選択され,多様な差別化に向けた行動がとられることになるが,全ては顧客との関係,選択されるだけの関係を築き上げる点に目的がある。差別化戦略の仕上げは,「我々の顧客は誰か。」「我々の顧客はどこにいるか」,「我々の顧客は何を待っているか。」「我々は顧客との会っているか」といった基本的なことが問われることになるだろう。

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