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№1603 すべては競争優位(competitive advantage)のために

№1603 すべては競争優位(competitive advantage)のために

 マイケル・ポーターの「競争優位の戦略」(ダイヤモンド社)を読み始めた。
 これも分厚い本なのでいつ読み終わるかよく分からない。読み進めるに従って最初の部分を忘れてしまうかも知れない。

 会社の戦略を立てるために最も重要なのは「競争優位」である,というのはポーターの考えだ。ポーターの考えを示す部分をいくつか抜粋したい。

「事業単位の戦略は,競争優位にいたるルートであって,競争優位がその業績を決めるのである。市場シェアの獲得,保持,刈取りというのは,基本戦略の結果なのである」

 これは,多角化経営企業が事業単位で経営戦略を組み立てる場合の注意を促している。一定の分野を事業単位として経営戦略を策定する訳だが,事業単位あるいはその事業が占めるシェアを固定的に見てしまって,そこでのシェアをいかに拡大するかが戦略目標となってしまう点を注意している。

 ここで指摘されている「競争優位に至るルート」というのはなんとも奥深い意味があるように思う。発想転換,イノベーションのきっかけをどのようにつかんでいくかを示しているように思う。売上が伸びたという結果ばかりに注意をとられ,どこで利益を上げていくか,どこで顧客を獲得していくか,なぜ競争優位となっているか,こうした根本問題を見落とさず経営戦略を立てていくことが必要となる。

「コスト削減は,コスト優位の達成と同じではない」
 
 これはコスト削減を推進する余りに差別化への投資をも犠牲にしてしまう場合を示している。特定のセグメントに対してコスト競争を持ち込んでしまう場合,同時に差別化に対する戦略も持ち合わせる必要を説いている。

 企業の競争戦略は何かを考える場合に,企業の基本戦略として差別化であるという考えるならば,「集中」(=特定のセグメントの顧客に集中する)に際し,コスト削減を行うことが必要であるとしても,自分の企業の本籍が「差別化」にあるとするなら,差別化についてのぶれない姿勢を維持することが必要となる。なぜなら,それがその企業にとって,競争優位を導いているルートだからだ。

 このように,ポーターの発想は,経営戦略の全ての基本は「競争優位」にあるというものだ。