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№1781 何をやらないか!戦略の秘訣

№1781 何をやらないか!戦略の秘訣

 マイケル・ポーター「競争戦略論Ⅰ」(ダイヤモンド社)91ページ、トレードオフの考えは実に感動的だ。実にわかりやすい。

 ポーターはオペレーション効率は戦略ではないと言い切る。効率は重要だがそれだけを追及していたのでは創造性も差別化も生まれない。「戦略の本質は差別化である。」そして、差別化はライバルとは違った活動をするところで生まれる。顧客を引きつけ、獲得する活動を作り上げるところに差別化、さらに戦略が生まれる。それが、業界の中でポジションを獲得するということの意味だ。

 この差別化を実現する活動には「トレードオフ」が必須だとポーターは言う。
 トレードオフというのは二者択一を言うのだが、たとえば、低下価格で大衆化を図るのであれば、高品質、高付加価値は犠牲にされる。

 たとえば、ニューロジーナ石鹼は「肌に優しい」、残留物の少ない中性石鹼を追及し、医薬品のような研究開発、宣伝活動を続け、かつ値下げによる販促を避けた。その結果、独自のポジションを獲得し、「薬用」石鹼で成功した。これは、スーパーマーケットなどで大量に売られる路線を放棄したことで成功した。

 差別化によって業界内にポジションを獲得するためにはこうした二者択一が繰り返し行われることになる。「品質は無償で手に入るとは限らない」常に何かを犠牲にして生まれてくる。このトレードオフなしに戦略は見えてこない。戦略の本質は「何をやならないかという選択である。」

「この10年間でオペレーション効率は大きく向上したが、そのなかでマネージャーたちは、トレードオフを解消させることはよいことだという考えを取り入れてしまった。だが、トレードオフが存在しなければ、企業が持続的な優位を築くことはありえない。これまで以上に効率を向上させても、せいぜい現在の地位を維持できるだけということになってしまう。」

 戦略の本質は「何をやならないかという選択である。」、何かやらなければすに模倣され、競争力は落ちる。何かやるためには何かを犠牲にする。この犠牲にするときに「やらない」という勇気が必要だ。なんと明快ではないか。 
 
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