名古屋・豊橋発,弁護士籠橋の中小企業法務

名古屋,豊橋,東海三県中小企業法務を行っています。

№1520 上海決意

№1520 上海決意

 上海に来るといつも頭がハイになる。そもそも中国人達がいつもハイなのだが,上海の場合,経済発展も著しいので影響を受けてしまう。そのハイな中国も大きく変化しつつあると私は思う。

 現在の中国経済が大きな過渡期を迎えているのは間違いない。中国は安い労働力を背景に外資を呼び入れて世界の工場として発展してきただが,人件費の上昇とともにそれでは通じなくなってきたからだ。

 中国政府は何らかの形で富の再分配を図ろうとしている。それは地域格差の是正だったり,社会保障の充実だったりする。中国の富裕層はいつ社会が変化するか戦々恐々としてているようだ。

 中国政府の課題は自国経済の自立と国内消費の拡大といったところか。

 大資本を持つ産業のほとんどが外国資本によって成り立っている。それを支えるサプライヤーも外国資本に頼っている。材料,部品といった中間財についても日本に依存している構造に変化はない。少なくとも裾野産業の発展は中国社会の重要な課題のように思われるが,地道でめだたたないこの政策には中国政府は関心が低いように思う。

 消費市場としての中国が大きな発展を遂げていることは事実なのだろう。中国はGDPにおいて世界第二位だが個人あたりに換算するとまだ低い。金銭的に豊かにはなっているかもしれないが,上海を見る限り消費者の質的水準はまだ発展途上だ。しかし,コンビニなんかの商品を見るとずいぶん質が上がっている。ホテルのパンなどは2,3年前にはぱさぱさだったのが,今はずいぶんおいしい。

 こうした中国の事情があるのだが,中国は日本にとってどれほど魅力があるのだろうか。私にはかつての中国に感じた未来に向かう若々しいエネルギーがなんだか減少しているよう思えてならない。ASEANの意欲的な動きに比べると中国が若々しさを失いつつあると感じるのは私だけなのだろうか。これは経済というよりは強権的な中国政府の姿勢が影響しているかもしれない。

 ともかく,中国はかつてのような「山師」たちの世界ではなくなりつつあるように思う。一攫千金を狙って多くの資本がすでに算入した時期は終わりを告げ,着実に売れるものを探していくという社会に変わっていっているのだろうと思う。これは日本でものを売るのと同じだ思わなければならない。