№1444 監査役の役割
代表取締役が手形などを乱発して会社の財産を危うくした場合には,他の取締役にも監視義務違反が問われる。監査役も同様に会社に対し監査する注意義務がある。会社法381条1項は「監査役は、取締役・・・の職務の執行を監査する。」となっている。
大企業の場合,代表取締役が勝手な振る舞いをしないよう監視体制を作っている例が多い。取締役会をきちんと開催することはもちろん,内部監査室とか,金庫管理規定といった規則とか,コンプライアンスに関わる体制を組んでいる。
もし,こうした体制が無い場合には監査役は監視体制が欠如していることを取締役会に警告する必要がある。また,せっかく監視体制ができていてもその運用が誤っているようであれば,運用の誤りを指摘する必要がある。
たとえば,いわゆる「雇われ社長」が勝手に他社の債務の連帯保証をしたり,あるいは会社の財産を横領していたような場合,雇われ社長に対しては刑事告訴なども含めて法的責任を追及することになる。しかし,それだけでは会社の損失は回復できない場合がある。
こういう場合には,たとえば監査役や取締役個人に対して,監視義務違反を理由に責任追求という手段も検討課題になる。