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№1422 弁護士の心得「常に前向きであること」

№1422 弁護士の心得「常に前向きであること」

 中小企業法務の場合,実に多様な相談を受ける。社長や親族の個人的な相談から会社の存亡のかかわる重大な相談まであるし,トラブルが起こってからの対応もあれば,これから事業を行う場合のリスクもある。

 しかし,どんな相談であっても弁護士は「常に前向きである」ことが求められる。この「常に」というのはどういうことだろうか。

 経営者の判断には常にリスク,つまり不確定要素がつきまとう。リスクがあってもあえて選択する必要がある場合もある。それが経営者だ。経営者はリスクを引き受ける職業と言ってもいいくらいだ。

 リスク,リスクが顕在化した結果としてのトラブルに対し,こんな具合に相談を受けるというのが「常に前向き」ということになる。
「こういうリスクがあります。しかし,こうすればリスクを抑えながら進めることができます。」
「リスクが大きすぎてお勧めできません。しかし,撤退の過程で損害を最小限に抑えることができます。」
「この方法はトラブルを招きます。しかし,別の方法によって目的を達成できます。」

 ここに共通することは,弁護士の側から常に積極的な提案があるという点だ。この前向きな提案があるというためには弁護士はこんな点に注意する。
① 事実を正確に把握して,分析する。
  事実に幅がある。不確定さの度合い(裏付けとなる情報の量,質),同じ事実でも見方の違い(下から見るか,上から見るか),本人も気づかない未知の部分,など幅がある。その幅のレベルを正確にすることが必要だ。

② 依頼者の本来の意図を正確にする。
  依頼者は最終的にはどんな利益を得たいと思っているのか,どんなリスクを回避したいと思っているのかを正確にしていく。決断には常に決断の基となる要素が存在する。その要素を知ることが必要だ。弁護士はその要素を評価する。

③ 依頼者の気づかない判断要素を提供する。
  「この事例なら不正競争防止法でリスクをカバーできると思います。」というような具合だ。ここが最も重要で,依頼者に「期待以上の成果」を与えることができる弁護士がよい弁護士だ。