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№1421 「法務部の外注」としての法律顧問の仕事

№1421 「法務部の外注」としての法律顧問の仕事

 企業の法律顧問の仕事は大企業の法務部の「外注」のようなところがある。
 その分野は契約,労務コンプライアンスなど多岐にわたる。多岐にわたるということは実は忘れられやすいという危険を絶えず含んでいる。日常業務がうまくいっていればそれでいいではないか。いちいちめんどうだというのが多くのセクションの発想だろう。

 どのセクションでも同じなのだが,各部門は積極的に自らの責任と仕事をアピールしなければ必要なくなってしまう。たとえば総務だって受身でやっていたのでは自分の仕事の範囲はどんどん小さい仕事なってしまう。

 法務部はもっとそうだ。大企業の法務部は明確な使命感と積極性をもって自社の運営に臨み存在感をアピールしている。そうしたところの法務部は実際役立つ。

 取引関係の契約上の地位と徐々に有利に持って行く作業を行う。適切な契約によって大きな災いを避けることができる。

 新規事業の大きな枠組みを作り上げていく作業も行える。時には組織全体のあり方も提案することがあるだろう。こうした法務のあり方はしばしば「戦略的法務」というような言葉で表現されている。

 私たち弁護士の顧問関係も同様だ。企業がうまく言っていれば別にいちいち法律のことを尋ねる必要は無い。ルールというものは逸脱しない状態がなければ必要が無い。逸脱があって初めて必要となる。

 そこで,私たちは積極的にクライアント企業の分析をするようにしている。
 どの企業もたいてい多くの課題を持っている。つい最近までは銀行対応が大きな課題だった。最近では事業承継やM&Aの課題が増えている。労務関係の見直しも必要だろう。こうした企業の基本的な課題を知りそれに沿った検討が常に必要となる。

 また,日常的に会社の法的思考な訓練も必要だろう。
 社長がいくら問題意識があっても社員に問題意識がなければうまくいかない。中小企業の場合,総務や経理担当者の法的訓練が不可欠だ。支店長ぐらいになると労務の知識も必要となる。顧問となってクライアントのために行わなければならない仕事は多くある。しかし,これを待たずに行い,探せばあるという感覚で取り組まないとなかなかうまくいかない。。